共振回路

 発振器に使われる回路には、「ある周波数で位相が180度回転する」、LCRの組み合わせが使われます。また分布定数回路という単なるプリント板の上の銅箔や同軸ケーブルなどを使うこともあります。

LC共振回路の部品:

L(コイル):

 うん知ってるよ!、電線をぐるぐる巻いたあれ。単位はHと書いてヘンリーと読みます。でも単位の由来を知らなければ知識は使い物になりません。
 コイルの両端に「1Vの電圧」をかけると「毎秒1A電流が増えていく」コイルを「1Hのコイル]と定義しています。HF共振回路では10μHぐらいですから、10μVの電圧をかけると毎秒1A電流が増えていきます。1Vの電圧をかけると毎秒1/10μ=10=10万アンペア増えていきます。これが理想的なコイル。式で書くと
 
 あちゃー!、微分方程式と見るとむずかしい。小学校で習った比例式だと思うと問題無いでしょう。
電圧(V)は電流(I)の時間(d/dt)あたりの変化量に比例する、そして比例定数がLで、これがコイルの単位ヘンリーです。
 ウムムム、むづかしくなってきたな!。しかしもうひといき。コイルに電流を流すと磁気エネルギーが貯められます。パワーは電流×電圧ですね、エネルギーはこれに時間を掛けたものです。
 (計算式CoilE.gif)、結論は

EL=L I/2

C(コンデンサ):

 単位はF(ファラッド)、ファラデーの名前です。ファラデーさんは偉大なアマチュアとして記憶されています。 コイルと同じように言えば、両端の電圧はたまっている電荷の量に比例し比例定数の逆数が容量ファラッドなのです。

 V=Q/C

 電荷は「電流を時間的に全部足した」ものです、これを数学的な言葉で言うと「電流を時間積分する」と言います。

V=I t/C        ←電流が一定なら

 上の式は、一定の電流(I)をコンデンサに流すと電圧(V)は時間(t)の経過とともに比例定数(1/C)でどんどん大きくなることを数式に書いたものです。下式は一定で無い電流の場合の式。
   ←電流が変化するのなら

両方とも同じことの別表現です。エネルギーは静電エネルギーとしてたくわえられます。

EC=C V/2

LとCのエネルギー交換:

 さて、コイルとコンデンサはエネルギを蓄えられますが、抵抗はエネルギを消費するだけで貯めることはできません。まあ厳密に言えば触るとアッチッチという意味で熱エネルギとして貯めることはできますけれど、それを電気エネルギにもどすことはできません。

 コンデンサに充電してエネルギをためてそれをコイルにつなぐと何が起きるでしょう?

 まずコンデンサの電圧がコイルの両端にかかるので、コイルの電流が増えていきます。どんどん増えていってコイルのエネルギが最大になった瞬間にはコンデンサのエネルギがゼロになります。なぜそう言えるか? エネルギはかってに増えたり減ったりしないで全部あわせると一定の値を持つからです。なぜかはわかりません、これが我々の世界の決まりらしいので「エネルギ保存の法則」と言っています。つきつめると説明不可能点にいたるものなのです。
 このようにコイルとコンデンサは磁界エネルギーと静電エネルギーの2つの状態でブランコのようにエネルギーをやり取りします。ちょうどブランコが運動エネルギーと位置エネルギーの間でエネルギーを交換するのとまったく同じです。ブランコで運動エネルギーが最大なのはスピードが一番ついているときの一番下にあるときですし、位置エネルギーが最大なのはどちらかの端っこに振れているときで、このときスピードはゼロになりますね。
 このLC回路では磁気エネルギーが最大のときにはコイルの電流が最大でコンデンサの電圧はゼロになります。静電エネルギーが最大のときにはコンデンサの電圧が最大でコイルの電流はゼロになります。

共振周波数:

 コイルLとコンデンサCの共振周波数は

F(Hz)=1/(2π√(LC))

この式は御存知ですから、これを導くのはやめましょう。そのかわりに、共振しているときのコイルとコンデンサの話をします。
 並列共振回路でも、直列共振回路でも共振しているときにはコイルとコンデンサのインピーダンスが等しくなります。

Zc=1/(2πFC)  ←コンデンサのインピーダンス
ZL=2πFL     ←コイルのインピーダンス

 上にある共振周波数F(Hz)は Zc=ZLの条件の別表現です(計算してみてください)。別の言い方をすればコイルとコンデンサのインピーダンスが等しい状態を共振していると言ってもいいのです。

Qとは何か:

 実はここからが本題、理想論から現実の話への橋渡しです。

 コイルのQ、QはクオリティのQですから品質という意味があります。そう、ある周波数でのインピーダンスと抵抗分との比率と聞いたことがあるでしょう。比率になんの意味があるのか?そこが問題なのです。数式をドバッと書いてうやむやにするのはいけませんね。さっぱりわからない。
 理想論ではエネルギー保存の法則が効きますが、現実は厳しい。エネルギーはこの抵抗分でどんどん熱になっちまいます。
 コイルのインピーダンスが1kΩ、共振しているのなら当然コンデンサのインピーダンスも1kΩ、コイルの抵抗分が10ΩならQは100です。高周波ではこんなもんです。始め1ジュールのエネルギーがコイルにたまっていたら、これをコンデンサに移す段階でなにがしかの損失が発生します。もちろん熱となって胡散無償。この具合をQはうまく表現してくれます。Q=100で話をする理由
 ストレートにコウダ!と書いてもいいのですが、それでは読み飛ばしてしまうでしょう。そこでじっくりと書いてみますが、ここからは算数が必要なのでボツボツ読んでちょうだい。

例: 100pF 1μH Q=100の共振回路
 ここまでが普通の解説内容、ここから下は共振の1サイクルごとに何が起きるかの話です。

 ことの始め(コイルとコンデンサが接続した瞬間)にコイルに1A流れているとしましょう。
エネルギの式より

 EL(コイルのエネルギー)=L I/2 → 0.5μJ (Jはエネルギ単位でジュールと読み、1Wで1秒間のエネルギーです)

 これが損失無しに全部コンデンサに流れ込むと

  0.5μJ = 100pF × V^2 × 0.5 → V=√10000 = 100V  となります。

 理想的にはコイルに±1A、コンデンサに±100Vが交互にあらわれてエネルギーのやり取りをします。ところがQ=100なので、抵抗成分が1Ωありるので完全にエネルギーがやりとりできず少なくなります。
 エネルギーの減り具合はちょいと算数では説明が難しい!、微分方程式という数学の書き方でなくては説明できない(私が馬鹿だから)。仕方ないのでSPICEというソフトで計算させてみました。


 これはSPICEというアナログシミュレータで計算したもので、上の段はコンデンサの電圧、下の段はコンデンサに蓄積された静電エネルギーとコイルに蓄積された磁界エネルギーを足したしたものです。シミュレータの計算ファイル Lcr.cir
 下の段のエネルギグラフがうねっていますね。これは計算エラーではなく、コンデンサの電圧がゼロの時にコイルの電流が最大になりますから、その時にエネルギーロスが大きくなり傾きが大きく、コンデンサの電圧が最大と最小(±100V)に近いときは電流が少なくて抵抗成分による損失が小さいことを示しています。(コイルに付属する抵抗成分として損失を表現したからです。コンデンサに付属すると表現したら違ってきます。)
 カーソルはちょうど1周期たったときに始めのエネルギー(500nJ)が(469.596nJ)に減ってしまったタイミングをあらわしています。Qが100のとき1周期あたりで94%にエネルギーの損があります。毎周期あたり6%となります。

Q=100では  このLCを使い振幅を±100Vに維持しようとすると1周期あたり60nJを供給しなくては振幅が維持できません。(n はナノといい10−9、10億分の1です)。
 周波数は 15.92MHzなので1秒あたりにすると 

15.92×10  × 60×10−9 → 0.9552 W となります。

 WはJ/秒ですね。つまり、ほぼ0.96Wの発熱があり、これでQ=100、L=1μH、C=100pFの共振回路が安定して振幅を維持できます。
 ちなみに、コイルとコンデンサの間で行き来する電力は行って帰るので1μJとすると、15.92MHzでは 15.92Wの交換があることになります。 15.92Wの6%が0.96Wで話が合いますね。
 毎周期あたり6%のエネルギー損は別の表現では(2π)/Q→が6.28/100に近い値です、これは自分で調べてみましょう。とりあえず毎周期あたりの損失は (2π)/Q になると考えてください。

毎周期あたりの損失割合=(2π)/Q

 したがって、Q=50になると損失は2倍になります。

(厳密に数式で書いたほうがいいのかな? もし希望があればメイルをください。)

end


--------以下は個別の説明、本では欄外になる部分です


ジュール

 電圧×電流でワット、電力です。電力に時間を掛けると、何ワットで何秒間というかわりにジュールになります。そして、それが直接的にエネルギーの全体を指していますね。
 4.2J(ジュール)で1カロリー。ナポレオン時代のフランス軍、軍人科学者の名前で、大砲の孔を掘りぬくときに「仕事」の単位としてつけたものです。

Q=100の理由

 3〜30MHz、1cm〜3cmの直径に同じ巾になるようにエナメル線を100〜10回密着巻きした高周波用の空芯コイルのQは50〜200程度になります。よほどへたくそに作ってもQ=50、努力して作っても300にはいかないでしょう。だから代表的な話として100としています。
 それ以外の周波数、たとえばオーディオの3kHzぐらいだと鉄芯無しではQ=10程度、UHFで普通に作るとQ=50ぐらいになるかな?
 共振回路を作ってコイルのQを調べられますが、計算することもできます。表皮抵抗とコイルのインダクタンスの概略計算式があります。