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(C)数理設計研究所 玉置晴朗 2001/11/14
コルピッツ、ハートレーなど先駆者名がついた回路があります。ひとつひとつのタイプを覚えたり教科書に出てくる漠とした解説では本当のところは理解できないでしょう。理解の困難は発振の物理的な原理を抜きにして回路図のみを見ているところにあります。
発振には起動と持続の2つの状態があります。自動車で言えばエンジンをかけるのと普通に動いている状態の2種類です。多くの解説は区別せずに扱っていますが、発振回路でも2つの状態があることは忘れないでください。起動時の状態を特別に考えなくても発振する回路が普通なのですが発振するかどうかと言う意味では非常に重要なことです。
水晶、LC、CR発振器など回路名称は違いますが基本原理は同じなので発振の原理から話しましょう。
発振は振動が自立的に継続することです。振動現象が外部から観察できるという事実は外部に振動エネルギーを放出することですからエネルギーの損失を伴います。したがって失われたエネルギーを補充する増幅器が必要です。
図でAMPと書いてあるものが増幅器で、Inの端子から入る電圧をOutに大きくして出力します。もちろんAMPには外部から電池などで電力を供給して、それがエネルギーの元になるわけです。
Netは回路です。専門的には回路網(カイロモウ)と言われる部分で網=アミですからNetと書いてあります。
発振しているときにはAmpのOut(出力)からNet(回路網)をぐるっと回ってAmpのIn(入力)そしてAmpのOut(出力)にいたるまでの信号に特徴があります。
周波数Fで発振しているとき、周期Tは1/Fになります、ちょうどその時間で信号が伝わるようになっているのです。信号がぐるっとめぐるときに位相が一致しているとも言います。
Outに着目しているとき、たまたまそこが+に振れ始めたら、どんどん+に振れ、−に動いたらどんどん−に動くのです。これを正帰還と言います。
Netには「水晶、LC、CR」などを使います。これが名称となってたとえば水晶発振回路などと言いますね。Ampにはトランジスタやオペアンプを使います。
バイポーラトランジスタを増幅に使うとしましょう。たとえばエミッタ接地型として使えばベースへ入力した信号電圧はコレクタに反転して出てきます。FETではゲートに与えた信号電圧が逆極性に増幅されます。
つまり、電圧増幅させるような使い方では入力が反転して出力になります。反転増幅と言ったり180度の位相回転があるなどとも言います。厳密にはトランジスタ自体の浮遊容量や配線の影響で170度だったり200度だったりしますけれどね。理想的なトランジスタならば直流から非常に高い周波数まで180度の位相回転になります。
さて、このときNetがある周波数で180度の位相回転を持つと全部あわせて360度になります。この「ある周波数」が発振周波数になります。
現実の素子は理想的なトランジスタではないので200度の位相回転を持つトランジスタなら、Netが160度の位相回転を持つ周波数で発振します。
コルピッツ発振回路です。パラメータは非常にいいかげんなので、このまま作らないように。
この回路を先の話の続きとしてもう1度解説しましょう。
Amp部はFETで2SK192という高周波用のものです。▽に0と書いてある記号は接地記号です。この図はMicroSimの回路図を描く評価バージョンで作ったものなので”0”の番号はアナログシミュレータで接地を表現するのです。
このNチャンネルFETのゲート入力に+がかかると → ドレイン電流が増えます → ドレインに接続されている3.3kΩに電流が流れるとドレイン電圧が下がります。つまり2SK192は反転増幅器として動作するのです。
発振エネルギーははドレイン(Ampの出力)からC4の1nF(=1000pF)へ、そして中点を設置したバリコンとL1による共振回路、さらにC3を通じてゲート(Ampの入力)へとめぐります。
C4,C3,R1,R2は影響が無いとして描きなおしてみましょう。
InvAMP(反転増幅器)からA点に信号が与えられ、Bに反転して出て行きAMPの入力となります。この回路はL2の両端からC6,C5で接地されているLCの並列共振回路となっています。
共振回路はエネルギーがコイルの磁気エネルギーとコンデンサの静電エネルギーの間でいったりきたりするもので。コイルのエネルギーが最大のときにはコンデンサのエネルギーが最低になり、理想的なコイルとコンデンサでは同じ量のエネルギーがいったりきたりします。
L2,C5,C6とループになっていますから、C5の電圧(A点)が1VになっているときはC6(B点)の電圧が−1Vになります。だってループになっているのだから両方のコンデンサには同じ電流が流れますから逆方向で同じ電圧に充電されるはずです。
そうです、この回路は同じ100pFのコンデンサを使うことで、AMPの影響が無ければA点に観察される電圧が反転してB点に出るのです。もし100pFと200pFのようにアンバランスになっていれば2:1の電圧比になります。
この共振回路と反転増幅回路を組み合わせればとにもかくにも発振器の原型となります。
先ほどの図では2つのコンデンサの間で接地しています。回路のどこを接地してもかまわないので変更してみましょう。そうするといくつかの変形が得られます。(ここからは、暇になったらそのうちに書こう!)
一番最初に起動の状態は安定状態とは違うと書きました。安定状態になると反転増幅器の飽和によって振幅が制限されて安定になることはご存知の通りです。では、最初はどのようにして発振を始めるのだろう?
小さなノイズを増幅して・・・・と言われていますが、実はたいていの場合には電源が与えられた瞬間の大きなショックで発振が始まります。では発振していた状態から、何がしかの方法で発振を停止させたら、次にはどのように発振が始まるかを考えて見ます。
end