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高周波の空中配線による影響

  研究・設計 数理設計研究所 Hal.T
2010/11/29
Index

概要

 高周波の伝送はインピーダンス整合が大事。とは言え、そうもいかない時がある。ケースに組み込んだ基板までコネクタから短い同軸配線を心がければいいのだが、本当に同軸でなければいけないのか? 150MHzは波長2m、100分の1の2cmでは問題が起きるのか?
 あらかじめ調査しておけば場合に応じて単線、撚り線、同軸の配線を使い分けられる。
 実験の流れ全体をここに記載してみるので、しょうしょう煩雑な記述になると思うが、それでも実験とはこういう風にするんだってことで意味があるだろう。実験は太田研究室ではなく、前橋本部の私の部屋で実施した。
許容長さの結論
F 単線 ツイスト
145MHz 25mm 50mm
435MHz 8mm 16mm

初期の論理評価

・空中配線についての評価はQuickSmithなどの伝送回路計算機で評価できる。
・そのときに必要なパラメータをいいかげんにすると、エイヤッっと勘でするのと同じで数値計算の意味がなくなる。

 必要なパラメータは、単線の伝送インピーダンスまたは平行線や金属箱の中の空中配線のインピーダンス。さて平行線や金属導体の中のインピーダンスは平行線路、同軸の計算で可能だが、一本の空中に置いた電線より必ず小さくなる。したがって最悪評価をしたいのなら空中に一本の配線を配置したときのインピーダンスがいいだろう、どこかにあると思うが今は見つからないので。

 同軸の計算式から推定してみよう、と思ったがやめて、同軸の実現可能な値は300Ωぐらい、平行線は1000Ωぐらいだ。つまり、そばに金属がある場合にはべたに添わせれば100Ωぐらい、空中に浮かせても(平行線の半分なので)500Ωぐらいの範囲でしか変動しない。50〜500Ωの推定が妥当だろう。これを一番外れた500Ωとしてみよう。

ここでQuickSmithの出番。結論は
150MHz、500Ωの伝送線路1インチで50.3+39.6j SWR=2.2
150MHz、300Ωの伝送線路1インチで50.3+23.3j SWR=1.6

 以前、435MHzでは1cm以下にしてほしいといったことがあると思うが、これらの計算からきている。上の例より周波数が3倍なので3分の1の8ミリぐらいが435MHzの許容値。145MHzでは2から3cmの言い分の説明さ。
 実際にはアルミケースの中なので300Ωがいい線だろう。単線をまじめに空中に飛ばすのではなくケースの底に押し付けるなどすればもっとSWRは下がる。

 ただし、電流の行き返りが離れると内部で電磁放射するので、いい加減でもいいから添わせるか、ねじらなくてもいいからトロイドコア(FB101)を通した「いい加減並行線」として配線するのがいいと思う。そうすればケース内の電磁放射は非常に小さくなる。

準備

測定機

 アンリツのMS2034A、可搬型のベクトルネットワークアナライザ(VNA)にスペアナが付属したもの。2MHz〜4GHzで使えてスミスチャート表現もできる。最近は安くなって200万円もしない・・安くはないか。

整理整頓

 雑然とした状態では雑な実験しかできない。多くの人はこのことが分かっていないのか、適当に机の周りがきれいならいいってレベルで作業を始める。

 でも、言っておこう。今まで見てきた限りでは、雑然とした机で作業している者は、どういうわけか、机の乱雑さ程度の実験しかできていない。なぜだかわからないが、ともあれ掃除しよう。
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掃除前
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掃除後

実験計画

  • 電線 2.5cm
    • 54Ω1/8W 直付け
    • 単線 (片方はアルミケース))
    • 平行線
    • 撚り線
    • 1.5d2V
  • 負荷抵抗 54Ω1/8Wの炭素皮膜抵抗
  • 測定帯域 100MHz〜500MHz
SMAコネクタの内側までをVNAにてキャリブレーション。正確に言えば、同じSMAコネクタで0Ω、100Ωのチップ抵抗並列で50Ω、∞Ω(オープン)の治具を作って、これを標準としているってことだ。

実験

 とりあえずVNAのSWを入れてしばらく安定化させる、だいたい熱的な安定には30分ってのが目安になるのは今も昔も変わらない。

キャリブレーション

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自作の校正ユニットを使う。これは正規のお高い校正ユニットで確認してあるので問題ない。
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a00.jpg キャリブレーション状態
 ちゃんとスミスチャートの中心に来ている。
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a00(1).jpg ケースに接続
ケース内部には何も接続していない。ただし5ミリほどのピンだけが出ている。チャートの右端にあり若干のリアクタンス分が残留、まあしかたないだろう。

以下すべてについて
スタート周波数100MHz、停止周波数600MHz
・マーク1 145MHz
・マーク2 435MHz
に指定してある。

50ミリのツイストペア

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2010/11/29 19:45:41

a00(2).jpg

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a00(3).jpg

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F(MHz) R j SWR 評価
145 55 35 1.9 何とか使える
435 42 69 4.1 NG

50ミリの平行?線

DSC03538.JPG

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2010/11/29 19:51:28

a00(4).jpg

a00(4).jpg

a00(5).jpg

a00(5).jpg

F(MHz) R j SWR 評価
145 70 50 3.8 NG
435 17.2 117 >20 NG

25ミリのツイストペア

DSC03540.JPG

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2010/11/29 20:01:38

a00(9).jpg

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F(MHz) R j SWR 評価
145 55 15 1.35 OK
435 38.2 44.2 2.7 何とか使えるかなあ

SWR記録をしていないので参考文献1(p34)より計算した。


swr.mcd MATHCAD8の計算ファイル

25ミリの平行?線

DSC03539.JPG

DSC03539.JPG
2010/11/29 19:59:27

a00(8).jpg

a00(8).jpg

a00(7).jpg

a00(7).jpg

F(MHz) R j SWR 評価
145 55 35 1.9 何とか使える
435 42 69 4.8 NG

1.7D2V

DSC03542.JPG

DSC03542.JPG
2010/11/29 20:07:11

a00(10).jpg

a00(10).jpg

F(MHz) R j SWR 評価
145 55 6 1.16 OK
435 58.9 18.7 1.46 OK
 普通の54Ω1/8Wの抵抗に同軸ケーブルをつないである。ただし両端を5ミリづつほど開いているのでその影響が出ているのか、それとも抵抗そのもののリアクタンス成分なのかは不明。

評価

 ある状況がどのような意味をもつか、一般的に言われていることがどんな背景からきているのかを無視して、たとえばSWR2以下ならいいとか簡単に考えていると何が起きるかわからない。
 一度はよく考えておき、記述しておけばその評価法を忘れていても読み返すことができるので、書いておこう。

SWR許容値

 一般的にプロ仕様のアンテナではSWR=2ぐらいを目安にして帯域決定することが多い。効率ηは
であると文献1P35にある。SはSWRであり、S=2のときには
8/9でほぼ90%が伝送され、10%が戻ってくる。損失としていえば1dBの損になる。これがSWR=2を基準とする理由であろう。

結論

許容長さ
F 単線 ツイスト
145MHz 25mm 50mm
435MHz 8mm 16mm
おそらくツイスト線はZ=100Ωぐらいなのだろう、

参考文献

  1. 「アマチュアのアンテナ設計」 岡本次雄 CQ出版 2005/09/11



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