距離測定用レーザ・レーダのビーム形成理論

(C)数理設計研究所 玉置晴朗 2001/11/3


 レーザレーダは複雑なビーム形状を持つらしい。実際のところ何をどのように測定しているのかを知るために理論的な検討を提供する。

レーダの基礎

単純エネルギ的(粒子的)に見た基礎

距離と時間

 レーダは光、電波、音波でも、ほぼ同じ原理で動作する。(タイトルに粒子的と書いてあるのは干渉現象に言及しないためである)。要は送り出したエネルギーが被測定対象に到達して乱反射する、跳ね返ってきた一部のエネルギーが受信装置に到達するので、送り出した時から帰ってきた時の時間量から距離を知るものである。
 L = 0.5*C*T   L=距離、C=エネルギー塊の速度、T=送信から受信までの往復時間
 0.5の係数はエネルギー塊が往復するので実距離が半分になることを意味する。
 エネルギーとして光または電波を使うとき C=3×108 m/sec であり、1kmの距離を往復する測定では2kmの往復時間となる。このとき
 T=L/(0.5*C) であるから、 T=6.6 usec となる。
("RADAR HANDBOOK" MERRILL I.SKOLNIK Naval Research Laboratory 1970)→

距離・対象物の大きさと受光エネルギ

 第二次世界大戦で電波によるレーダや潜水艦が大音響を発するソナーが進歩した。これらの伝播特性を表現する方程式を両方ともにレーダ方程式と称する。

考察の条件: Erx = Etx K S / L4  
(Erx=受信エネルギー Etx=送信エネルギー S=ターゲットの面積 K=装置、反射などの係数)
が受信される。

 「レーダ方程式考察の前提」と異なる局面が我々の実用するレーザレーダにはある。それは、実測定ではビーム径全体を覆うターゲットが多い点だ。このとき、戻ってくるエネルギーは Erx = Etx K S / L2  
(Erx=受信エネルギー Etx=送信エネルギー S=ターゲットの面積 K=装置、反射などの係数)
が受信される。
結論: ビーム径より細い枝を測定するときはレーダ方程式にしたがい、傾斜面全体を測定するときは距離の2乗に反比例するエネルギーが帰って来る。したがって、ターゲットサイズとビーム径の割合によって距離の2〜4乗の範囲内で受信エネルギーが変動する。つまり何を測定しているかを常に問題にしなければならないのだ。
 斜面の前にある細い棒はその地でのビーム径を推測し、奥にある斜面からの反射と識別する必要があるだろう。レーザレーダのラストパルス機能を利用するにしても、反射エネルギーが優勢なものを測定する傾向があることを心しておくべきだ。

ビーム形状

 右図のようなレーザレーダ装置を仮定する。これは我々が実用するすべての装置で共通の形状である。
 この装置の外形は青い色、機械軸は斜線で印をつけてある。

 この装置を使い、そこそこの距離で箱の外側にある照準用のサイトスコープを精密に調整したい。

 これがこの論考の最初の動機であった。

 実はこの目論見はライフルスコープの調整ほど単純なものでないことが判明た。
 送信、受信それぞれが別の光学系を持ち、おまけにライフルのように実弾があたるわけでもく、得られるのは首を振ったときの距離と反射強度の2つだけから軸を推定しなければならない。

送受ビーム形状の考え方

 送信ビームを Btx
 受信ビームを Brx
 送受合成を  Btrx

 ターゲット反射率を T とする。

 Btrx = Btx × Brx
送受を合成したビーム形状である。

 Btrxが反射率T(t)の上を動く(t)。あるtのところでの受光強度Cはビーム内のそれぞれの位置と反射率を掛けて足し合わせた面積


 となる。
 本来は±∞の領域で積分すべきだが範囲Kを±5にして計算して積分領域の面積が1になるように規格化している。±5はBtrx全部をカバーするように定めただけ。

反射率0.1から0.9に明確に変化するエッジを持つターゲットTを測定したときの受光強度の変化グラフである。
 送受合成が負の側に偏っているので、正の側に寄せなければ十分な反射が得られていない。
★変数 t はひとつしかないが、我々のレーザレーダではこれがphi、theta、L、さらに装置の固有関数になることは言うまでもない。
★関数形は説明のために適当に作ったものである。  trx3D.mcdへのリンク

計算法
赤:送受のビーム形状
青:対象の反射率
緑: t にそって両方の値を乗算

t=0の場所では緑の面積がC(0)となる。

 ビーム走査は赤い部分を左から右に動かし(tを動かす)ながら面積計算をする。
 本来なら積分範囲は±∞で実施するが、ビーム強度がゼロになれば意味は無いので±5にした。

 ビーム形状を仮定して立体表示したサンプル 、  数値計算ファイル trx3D1.mcdへのリンク


送信ビーム形状

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