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河川用の自動透視度計の開発

来歴
 透視度は非常に長い期間のデータ集積があります。しかし、人間が測定系の一部となっているために機械で透視度を計測するためには種々の問題があります。
 自動測定器を検討するには、まず人間がどのように測定しているかをモデル化してみました。

 メスシリンダの底板の下に置いた白色の標的に書いた十字線がはっきり見える水中の高さを透視度としています。これは、水中に分散している微少物質による散乱と吸収の過程で標的板の十字線のコントラストが低下する現象だと考えられます。
 コントラストの低下は明るくなるべき場所が暗く、暗くなるべき部分が明るくなることなので、汚れた海に潜り細い光ビームを持つ投光器で照明をすれば光の棒が見えます。非常にきれいな水中であれば光りの棒は見えません。この現象が透視度に相関することは容易に想像できるでしょう。
 浮遊物質の反射能をα、吸収係数をβとし、投光器と受光器をほぼ同じ場所に置いたとき受光器には
  sa:吸収断面積 ss:散乱断面積 a:吸収率=N*(sa+ss)
  L:距離 Lr:受光部と水面の距離 J0:元の光強度
  N:単位体積中に存在する物質の個数

深さ1mm〜10mの範囲からの総反射光の強度式

 粒子数を10^nnとし、σ=0.0001に仮定して数値計算、受光面積は5mm四方
 このグラフから推察できるように、反射してくる光の総量と粒子数は対数的な関係にある。右上部の曲がりは受光部と水面の距離を20mmと仮定しているので透視度が同程度になると飽和します。
透視度計の構造
 光を使う測定器で一番問題になるのは、光経路にある空気と水の境界です。研究室内の測定ではカラムを毎回洗浄するなどの手間を掛けています。フィールドで実用するときには自動洗浄の装置を組み込むことがあります。しかし、これも故障の問題などがあり長期間の安定性に欠けます。
 そこで、この装置は光経路に生物膜や汚染物の付着を生ずる可能性がある光学的な界面を持たないような構造になっています。
 水面に伏せたふたつのコップの中に投光部と受光部を内蔵して自由水面を安定に保ち、かつ水面の上部にある空気中から光を送出し受光するような構造になっています。
運用試験
 1997年2月13日〜3月13日に群馬県の下蟹沢川に設けた実験水路(60m)の上流側、下流側で運用実験をおこないました。
 透視度計に関しては零下10℃〜20℃範囲の長期安定度、フィールドでの校正手続きの確立、10分毎の濃密な観察で何が得られるであろうかとの興味を持って運用してみました。
 透視度計は川岸に設置した小屋の中から、50mづつの信号+電力ケーブルを引いてパソコンによる制御をしています。10分毎の測定は、最初に給水ポンプと透視度計電子回路の電源を投入して3分後にデータを取得して電源をすべて落とすシーケンスになっています。
 制御とアナログデータの読み込みはGID-ADC(12ビット8CH)キットを使いました。設置してから、2〜3日に一度は実際にメスシリンダ型の透視度計で測定し、この時のデータを後にパソコンのデータと比較して校正値を割り出しています。

 連続測定してみると、予想される表情と不可解な面とがあります。また、10分に一度の測定でも冬場の水が少ないときなので短時間に極端な変動を起こしています。もし、これが1日に数度の人間による測定では、何を代表値にしていたのだろうなと思わせるものがあります。
 流量計を組み合わせれば、汚水処理もやっと定量的に対策を立てられる可能性が出てくるだろうなと考えることができるのかもしれません。

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