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GID-ADC2
ハードウェアデザイン
(C) 数理設計研究所 2005/3/22 矢澤正人

 ここでは、GID-ADCのハードウェアを設計するに至るまでの、おおまかなデザインの決定と部品選定に至る経緯を記します。

基本性能

 パソコンやOSの進化に比べ、物理物性の基礎条件はそう桁違いに進化するものではありません。
 12bit1mV分解能、8ch、最大10kspsという性能は現在も広い範囲で実用に耐え、多くのセンサの使用や実験で使うことが出来ます。
 16bitや24bitが欲しいこともありますが、高分解能化はADCの耐久性や通信量とのトレードでもあり、これは別のシリーズで実現することにして基本性能はGID-ADCのものを踏襲することにします。
 GID-ADCは最大10kサンプル/秒が可能で、これも欲を言うとキリが無いのですが230.6kbps通信の実装により同等の性能を実現できます。
 データのパッキング方式を工夫すれば15kbps程度を実現できますし、460kbps化や分解能を下げることによる高速化の道もありますが、汎用性と安定性を重視して230.6kbps通信までを実現目標とにします。

ADC

 12bit8chを継承するのならば実績のあるMAX186をそのまま継承するのがベターなのです。
 測定レンジが半分、最小分解能0.5mVのモードを持つMAX1271/1270も魅力的です。アナログ入力絶対最大定格電圧が±16.5Vと上部になっている点も実用実験装置として魅力的で、MAX1271をピン互換の姉妹品MAX1270に差し替えれば、±5Vと±10Vの測定レンジを得ることができます。
 一応MAX186またはMAX1271/1270を使うものとして設計を進めますが、入手性や価格の問題もあり、同等以上の機能を持つ他社のADCへ乗り換える可能性も残します。
 フラットパッケージを使う予定ですが、基板上のスペースに余裕があれば交換が容易なDIPタイプにするかもしれません。
    入力レンジ 電源電圧 消費電流 パッケージ 入力保護 100個あたりの入手価格
MAX186 SPI 0-4095mV
±2047mV
±5V 1.5mA 20 PDIP
20 SSSOP
 
MAX199 uP/8 0-4095mV
0-2047mV
±4095mV
±2047mV
+4.75 to +5.25 6mA 28PDIP
28 SOIC
28 SSOP
±17V AEWI $20.40 4W
AENI $20.40 4W
AEAI $21.22 4W
ACWI &15.70 4W WSOIC
ACNI $15.70 4W 28PDOP
MAX197 uP/8 0-5V
0-10V
±5V
±10V
+4.75 to +5.25 6mA 28PDIP
28 SOIC
28 SSOP
±17V  
MAX1271 SPI 0-4095mV
0-2047mV
±4095mV
±2047mV
+5V 6mA 24 NarrowDIP
28 SSOP
±15V  
MAX1270 SPI 0-5V
0-10V
±5V
±10V
+5V 6mA 24 NarrowDIP
28 SSOP
±15V  
MAX1302
MAX1034
(開発中)
SPI 0-4095mV
0-2047mV
-2047-0mV
-4095-0mV
±4095mV
±2047mV
±1024mV
+5V 8mA 24TSSOP ±16.5V プログラマブルアンプ内蔵
MAX1300
.MAX1032
(開発中)
SPI 0-6V
-6-0V
0-12V
-12-0V
±3V
±6V
±12V
+5V 8mA 24TSSOP ±16.5V プログラマブルアンプ内蔵 

マイコン

 ユーザによるファームウェア改造の自由度を得るため、人気が高くマイコン入門者にも取得しやすいPICを使用することにしました。
 ただし、デファクトスタンダードともいえるPIC16F84は今となっては設計が古いため、UARTやリセット回路を内蔵し低消費電力化した後継品種のPIC16F88を使うことにします。
 PIC16F88の消費電力は20MHZクロックVDD=5V時で4mA、COMポートの電力で十分動作させることができます。マイコンを高速で駆動させればそれだけ高速なサンプリングが可能になるので20MHzで駆動します。
 ただし、超低電力での動作も可能なように32kHzクリスタルの実装もできるようにパターン設計をおこないます。
 PIC16F88は内蔵のADCを持ちますが、基本性能は専用のADCチップに遠く及ばないため、標準ではサポートしないことにします。改造すれば使えるようにパターン設計を配慮します。

インターフェース

 GID-ADC2の設計を検討するたびにUSBへの対応が頭に浮びます。
 USBでは長距離のケーブル延長が不可能ですし、今更と思われるかもしれませんがモデムやTNCとの接続ができません。
 最近は格安でUSB-シリアル変換器を購入することができますし、USB版のGID-ADCはUSBならではの特徴を生かしたものとして別の道を進むべきと考え、GID-ADC2ではシリアル接続を継続することにしました。
 GID-ADCのような制御線のハードウェア制御に拠らず、通常のRS232プロトコルならばどのようなCOMポートでも安定に動作し、ほとんどのチップセットやUSB-シリアル変換器がサポートする230.6kbpsで10kspsが実現します。
 低速のパソコンや長距離ケーブルの利用も可能なように、1200bpsの低速モードをサポートします。中間的なものとして9600bpsや19200bosもサポートするべきかもしれません。
 バイナリ通信が使用できない環境に対応するため、通信速度を犠牲にする替わりにテキスト通信のみで使えるモードを設け、電源ONでいつでもテキストでコマンド

コネクタ

 センサ側コネクタは、GID-ADCの資産を継承できるようにピン配置互換のDB25のメスコネクタを使用ます。
 PC側のコネクタは、一般的な9ピンストレートケーブルだけでパソコンと接続できるように、DB9メスコネクタに変更することにしました。

マイコン

 GID-uPCはRS232通信をサポートするためのマイコンとして、ホビーユーザーの標準マイコンであるPIC16F84Aを実装しています。
 PIC16F84では230.6kbpsを実現するのが難しいので、後継品でUARTを搭載している低電力品、PIC16F88を使用します。
 機能の変更や追加をおこなうときにファームウェア書き換えが容易なように、マイコンはDIPタイプを使用します。

電源回路

 GID-ADCは、PCATの標準的なシリアル通信LSIの信号線から電力を得て、±5V の電源を得るように設計されていました。
 しかし、いまやパソコンのCOMポートが標準LSIで構成されていることは期待しにくくなり、USB−シリアル変換器を視野に入れると、±5Vや±3Vの信号を使用するシリアル通信LSIが相手でも動作できるようにする必要があります。
 低電圧あるいはドライブ能力の低い通信LSIからも安定に電圧を得るために、3端子レギュレータの使用を止めて±5V出力の昇圧スイッチングレギュレータを使用することにしました。
 低いドライブ能力でも駆動できるように、回路全体の消費電力を低くする努力が必要です。

使用部品

 リード付きの電子部品はやがて市場から消える運命にあり、アマチュア電子工作屋はチップ部品が使えなくても構わないなどと呑気なことを言っていられません。
 チップ部品工作は難易度が高いと忌諱されていますが、そこそこの道具とちょっとしたコツがあればそれほど難しいものではありません。
 CR部品は、やってみればなんとかなるレベルである1608サイズとし、その他部品もフラットパッケージの使用を躊躇しないこことします。
 前述のとおり、マイコンだけはファームウェア書き換えの便宜を図るためにDIPパッケージを使用します。