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パーソナル・モデリング・マシンの 製品化を目指した
プロトタイプモデルの開発報告書

2000年3月 数理設計研究所 玉置晴朗

 以下は報告書からの抜粋なので味も素っ気も無いけれど、まあ我慢されたし。

開発の目的

 本開発のパーソナル・モデリング・マシンは製品の企画と設計段階における試作作業を技術者個人レベルで実現するための開発用加工システムである。加工の専門技術者だけでなく、機械、電子回路、ソフトウェア等の設計に関与する技術者が、容易に運用できる操作性と実用的な工作制度を持つ低価格な加工システムとして製品化を目指すもので、ここではその原型モデルを試作することを目標とする。

目標仕様

機械部

目標仕様
重量      20kg
サイズ 500mm立方
販売価格 35万円
絶対精度 100μm
相対精度 30μm
目標精度 10μm
加工領域 200×200×50mm
移動支持 磨きシャフト
移動駆動 台形ネジ+ダブルナット
駆動方法 ステップモータ

構造

 全体的に軽量化を目指し、量産に結びつけるためにはアルミ部材を使用し、最終的にはアルミ鋳物で製造することができるようにした。 小物微細加工には12000RPMが欲しいが、スピンドル部の価格を押さえるため専用スピンドルを使えないのでモータ直結とした。したがってモータはスラストとその直角方向の力に耐える必要がある。
Y軸 素材積載テーブルを前後に動かします。積載重量は20kgまで可能で、このときテーブルの垂直たわみは100μになります。
X軸 マシンの上を左右に動く構造で、これに積載されるものはZ軸とスピンドルモータ、合計で3kg。さらにスピンドル軸の切削抵抗が1kg程度となります
Z軸 スピンドルモータを載せて上下に動きます
スピンドル 実験的にはMAXON(スイス)製のDC24V130Wのコアレスモータを採用し、〜8000RPMを確保します

必要な剛性

300万円程の一ランク上級マシンで剛性と切削抵抗を実験し推定してみた。
ミマキエンジニアリングのNC−5S  Z軸の剛性 10μm/1kg、Yテーブルの剛性 2μm/1kg

歪みと力の見積もり

仮定1:重切削 φ10mmで300Wのエネルギーを消費 6000RPM とすると毎秒100回転 周長31.4mm×100で3m/秒 100Nの力、おおむね10kg重

文献によれば
Ad=切り込み深さ(ミリ)  0.2
Rd=切削幅(ミリ) 1.5
Sz=1刃あたりの送り 0.05
Z=刃数 2
K=材料係数(A5052=0.3) 0.3
D=工具直径 3
Q=切削効率 20

これにより想定している加工対象であるアルミ合金で切削する状況を計算してみると2.8Nになり、たったの300gぐらい(意外に小さい!)。

実現した剛性

Z軸の剛性 10μm/1kg    Yテーブルの剛性 10μm/1kg
Yテーブルの剛性がNC−5Sより劣るが、これはテーブル積載の予定重量が異なっているためで総合的性能としては妥当な線であろう。

フレーム構造

フレーム アルミ型材を切削加工
組み立て ネジ止め
低価格供給のためには部材を鋳造するのではなく市販の型材をうまく使う必要がある。

電子回路部

ゼロ検出:
市販のゼロ検出SWを利用したが8000円/個であり、各軸について2つの合計6個は高価すぎるので市販にいたるまでには改良しなければいけない。

各軸の駆動ドライバ:
4000円/台のオリエンタルモータ製のユニットを3つ使用している。組み込み用量産品で信頼性も優秀でコスト的にも良好である。

各軸ドライバへの信号とゼロ検出:
GID-DIOキットを使用している。これは数理設計研究所による設計により同時に開発と試験中で4月から「ぐんま産業高度化センター」と共同で市販するものです。 パソコンからこのユニットを使用して8ビット出力のうち6ビットを3軸の駆動、1ビットをスピンドル制御に割り振る。入力の8ビットのうち6ビットを3軸それぞれ両端でのゼロ検出とリミッタに使用する。

電源:
すべての電源はSWレギュレータにより商用電源から24VDCを作って供給する。電源容量は各軸のドライバが総計で4A、スピンドルモータの最大出力時に7A、合計で11A。最大電力は300W未満となる。

その他:
緊急停止ボタンは必須ではあるが現状では設備していない。緊急停止ボタンはパソコン制御などによらず電源全体を遮断できる構造にする。

パソコン側のソフトウェア

すべての制御はパソコンで行われ、通常の工作機械が持つ独立パネルを持たない。 パソコン側のソフトウェアは以下のモジュールで構成される予定である。
現在はこれらが個別に実験的に動作するだけで連携動作するところまで熟成されていない。

感想と評価:

 パーツ全ての購入価格は30万円ぐらいになってしまったし、私の作業で3日の金属加工を要した。しかし商社ではなく群馬県内の金属加工業者に50台/ロットでまかせればすべてで15万円になると思われる。全体的に10〜20μmの精度で試作したので、ベアリングやシャフト受け穴の精度が高すぎて組み立てるのに苦労した。それこそつばきを塗ってグッとしごいてという雰囲気。簡単にミクロン精度などと言うが、それより一桁低いはずなのだが、恐ろしいはめあい具合であった。
 2000年度はこれをGコードで駆動するソフトウェア、GID-DIOインターフェースの実験をかねて機構試験などをするよていである。

現物は太田研究室に置いてあるので見てみたい方は寄られたい。

試作写真

↑ 3軸を組み立てて加重試験している段階、全ての軸について10μm/kgであった

↑Z軸機構部     

↑ 実験するスピンドルモータ 左から AC3φコアレス(〜12000RPM、150W)  DCコアレス(〜8000RPM 130W)

比較機にした ミマキエンジニアリングのNC-5S(実力精度10μm)、シャフトやベアリングの穴明けに使用した。

end