人体バランスセンサー
|
|

立っている状態の人間の重心がどこにあり、動作をするとどのような重心位置の移動が発生するかを測定する計測器です。
ストレンゲージを利用した過重センサーを約90cm四方の板の四隅に配置し、その上に人間の体重に耐えられる強度を持った同寸の板を乗せます。この板の上中央に人間を乗せたときに4つの過重センサーで測定される過重の配分を測定することにより実現しています。
ストレン・ゲージは素子の歪みによる抵抗変化を利用する計測素子です。圧力センサーやロード・セルなどの各種センサーの構成要素として、あるいは構造体の強度や健全性の判定要素として広く使われています。

ある材料に弾性限界内で外圧を加えると、その大きさに比例した微少変形が生じます。
加える外圧が弾性限界を越えると外力と変形量との関係に非直線性、非再現性などが現れはじめ、ついには破壊にいたります。また弾性限界内にあっても外力の作用が繰り返される場合、その回数の増加に伴って疲労が進行し破壊にいたる場合もあります。
ストレン・ゲージの場合、作用する外圧は一般に弾性限界内に止めるのが普通であり、さらに繰り返し回数の多い場合には材質に応じて安全率をみることが必要となります。
金属はその物性として電気抵抗を持っており、その抵抗値はオームの法則に従い次式で表わされます。
(1)
ただし、
R:電気抵抗(Ω)、
l:抵抗の長さ(cm)
A:抵抗体の断面積(cm)
p:比抵抗(Ω・cm)
ストレン・ゲージは基本的には抵抗体そのもので、これを構造体または専用起歪体に固定することによって非固定物の受けている応力、圧力、変位などの非測定料をゲージの電気抵抗の変化に変換することを目的とする素子です。
ストレン・ゲージの抵抗変化率は素子の受ける歪みに比例し、次式で表わされます。
(2)
ただし、εは素子の受けるひずみで、外力による長さの変化をΔlとするとεは次式で表わされる無次元量となります。
(3)
ここで(2)式のKは、ゲージ固有のひずみ感度でゲージ率といいます。Kはゲージの材質によって定まりますが、金属の場合は2に近い数値をもっています。
ひずみによって抵抗が変化する理由は(1)式によって説明されます。すなわち、長さlがひずみによって増加する時、同時に横効果によって断面積の現象が生じます。その結果Kが2に近い値となるものと考えられています。
ゲージに与えることのできるひずみの大きさの限界はゲージの種類により異なりますが、だいたい3000×10−6程度で、このときの抵抗変化率は約0.6%となります。
金属以外のストレン・ゲージ材料として、シリコンやゲルマニウムなどの半導体があり、ストレン・ゲージ圧力センサーとして市販されています。半導体ゲージの場合、抵抗変化は主として(1)式のpが変化することにより商事、ゲージ率は金属の数十倍となります。
今説明したストレン・ゲージを利用した過重センサーが下の図です。

この過重センサーに過重がかかると、ストレン・ゲージが伸びて抵抗値がほんのわずかですが大きくなります。

この時の抵抗値の微少変化をオペアンプによる作動増幅回路を通して電圧に変換すれば、GUPPY−ADCに入力できる信号にできます。
装置全体の構成は図2のようになります。


アンプユニットの回路は次のようになります。

回路図中の固定抵抗は全て1/4Wの炭素皮膜抵抗を使用しています。
今回使用したストレンゲージはKYOWAのKFG−5−1K−C1−11です。このストレンゲージの抵抗値は1kΩですので、3つの1kΩの抵抗を配してバランスを取ります。
半固定抵抗は、オペアンプの+端子に接続されたイマジナリ・ショートとストレンゲージの抵抗値によって変動するオペアンプの−端子の電位を調節するためのものです。
10kΩと0.01μFのコンデンサによるローパス・フィルターは50Hzのノイズを取り除くためのものですが、このフィルター回路だけではノイズを完全には取り除けません。アクティブ・フィルターなどの強力なフィルター回路を接続する方法もありますが、これ以上のノイズ対策はGUPPY−ADCの特徴を生かしてパソコン上での信号処理によって実現します。
オペアンプはノイズ軽減のために高精度オペアンプの代表格であるOP07を使用しました。このオペアンプにはノイズ対策用のバイパス・コンデンサとして0.1μFのコンデンサを±両方の電源端子とグランドの間に入れます。

板の四隅に設置された過重センサーからの出力をアンプユニットとGUPPY−ADCを通してパソコンに入力することにより、現在どの過重センサーにどれくらいの過重がかかっているのかを知ることができます。
しかし、4つの回路から得られる値は過重センサーの工作精度などによって加えられる過重による抵抗の変化率が違い、作動増幅回路周辺のばらつきにより4つのセンサーに同じの荷重を加えた時に得られる電圧値(オフセット値)が違っています。
まずはこれを補正します。
荷重センサーにまったく荷重が加えられていない状態の値と一定の荷重を加えた状態の値を4つのセンサーについてそれぞれ取り込み、無荷重のときの電圧値を荷重ゼロとして記憶しておきます。
さらに、この値を基準として一定の荷重を加えた状態の電圧値をやはり4つのセンサーについてそれぞれ取込みます。そして、4つのセンサーそれぞれについて無荷重の状態の電圧値と一定の荷重が加えられた状態の電圧値から荷重による変化率を割り出します。
こうして得られたオフセット値と変化率から、それぞれのセンサーにどれくらいの荷重が加えられたかを直接比較することができます。
現在の段階ではGUPPY−ADCに入力される信号に乗っているノイズに対して本格的なノイズ除去対策を取っておらず、使用するコンピューターの処理速度を測定して20msの間観測された信号の電圧値の単純平均を取っています。
この点については、今後FFTによるデジタル信号処理を利用した高性能なデジタルフィルターをソフトウェアのみで実現することによって性能向上を計る予定になっています。

得られた各センサーの荷重から、各辺の上で重心がどの位置にあるかを計算します。
BとCの荷重の比率から、辺A上のどの位置に荷重がかかっているかを知ることができます。同様に、辺B、辺C、辺Dについても荷重位置を計算します。
4つの辺の重心がわかっているので、次の2つの式を連立させることによって重心位置を求める事ができます。

サンプルソフトはDOS/V互換機のMS−DOS専用です。
詳しい利用方法はサンプルソフトのマニュアルを参考にしてください。
現在のサンプルソフトでは以下の表示モードをサポートしています。
測定中に得られたデータは測定終了後にファイルに保存できます。これによって、データのプレイバック、解析等が可能ですが現在の所これをサポートする専用のアプリケーションソフトは存在しません。
今後サンプルソフトはデジタル信号処理および表現形式等インターフェース部分を中心にバージョンアップする予定にはなっています。また、必要があれば汎用のデータ処理ソフト等を応用するなどの方法も考えられます。