交流電流計
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交流電流の測定方法には、アナログ式テスターなどで一般的に使われるオームの法則を利用した低抵抗型、負荷抵抗により発熱した熱線の温度を測定する熱線型、トロイダルコアを使用したカレントトランス型などの方法があります。ここでは、非接触式で交流電流を測定することのできるのCT法(カレント・トランス法)による交流電流の測定方法と動作原理について説明してゆきます。
トロイダルコアとは、丸いドーナツのような形をしたインダクターのコア材に使われる磁性体のことです。
カレント・トランスに使用する磁芯材料には、トロイダルコアが使用されます。磁路に空隙があったり、磁路が直角に紛っているものは、磁束が気中にはみだして一次巻線と二次巻線の結合度(K)が低下してしまい、二次巻線への誘導起電力が減少します。
また、磁気回路の計算も非常に複雑になってしまいます。そのため、カレント・トランスによる交流電流の測定にはカレントトランスが使用されます。
トロイダルコアは磁路に空隙がないため磁気抵抗が少なく、小さな励磁電流で磁化させることができます。
図1において、2時回路を開いた状態で一次回路には磁芯を磁化する励磁電流Ioだけが流れているとします。ここで、二次回路を閉じて二次電流I2を流すと、I2によって磁芯の中の磁束は現象します。
この減少した磁束を埋め合わせるように一次回路に電流I1が追加されます。
このとき、
N1= 一次巻線数(=L)
N2= 二次巻線数
(1)
(2)
(3)
一次電流I2中に占める励磁電流I0が小さい理想辺隆起に近い場合は(3)式で I0=0 とおいて、
(4)
出力電流E0は、
(5)
しかし実際には、トロイダルコアの材質の励磁電流、鉄損、漏れ電流などのためにE0は理想的な状態よりも若干小さくなります。
これを結合度(K)で表わし、
(6)
となり、この式を変形すると
(7)
このような式を得る事ができます。従って、E0を測定することで、一次電流を求めることができるのです。
一次側の交流電流電流が小さい場合には、励磁電流の影響が無視できなくなること、結合係数がちいさくなること、透磁率が小さくなることの三つの理由から出力電圧は論理値よりも小さくなり、結果的には小電流域では一次電流の実際のよりも小さい値が得られることになります。
交流電流のサイン波の半周期をn等分し、二乗平均を求めて実効値を計算します。
サイン波の二乗平均は[1/√2)で表わされ、二乗平均と実際の測定対象の交流電流の値との誤差が0.2%程度におさまるようにサンプリング回数を決定します。
サンプリング回数が少ないと、計算上の誤差が生じてしまいます。計算上の誤差は当然小さい方が望ましいのですが、測定と計算を行うコンピューターの演算処理速度には限界があるので、カレント・トランスからコンピューターのソフトまでを含めたシステム全体での誤差を0.5%程度になるように設定し、そのうちのサンプリングによる誤差は0.2%以下になるように設計できれば十分であると言えます。
カレントトランスはトロイダルコアに導線を巻き付けたものですが、この巻き数が少ないほど結合度(K)が低下して理想的な変流器からずれてしまいます。導線の巻数を変えた時の結合度の変化の様子を求めて、結合係数が))%程度になるように導線の巻数を決定します。
条件@ 一次電流 1A
条件A 二次抵抗 10Ω
このとき、二次巻線の巻数は数百回から千回以上になることがあります。
トロイダルコアの選定の基準は以下の通りです。
できるだけ大きいトロイダルコアを使用する理由は、導線を巻く時にできるだけ作業をしやすくするためです。
断面積が大きいものを選ぶ理由は、大きいトロイダルコアほど結合係数が大きく、理想に近い特性のカレントトランスを作ることができるからです。
また、比透磁率の高いトロイダルコアほど小電流の測定が正確にできます。
今回は、二次巻線の巻き付け作業の簡略化と小型化を考慮して、メーカー製のカレントトランスを使用することにします。
採用したセンサーはU_RDのCTL_6Zという精密測定用の交流電流センサーです。
これはCTL_6_Zの姉妹品、CTL_6_L。形状は同じ。
カレントトランス(CTL−6Z)にAC100Vの電源ケーブルを通し、センサーの出力と平行に47Ωの炭素皮膜抵抗を接続します。
こうすると、CTL−6Zの場合で
(8)
したがって、
(9)
つまり、GUPPY−ADCに入力されら電圧値に17.1932を掛けると、そのときの交流電流値が算出できることになります。
CTL−6Zの詳しい特性についてはデータシートで確認してください。
GUPPY−ADCはハードウェア・アプリケーション側で電源端子に電源保証用のコンデンサを組み込む事をマニュアルで推奨していますので,推奨通りに25V4.7uFと25V33uFの電解コンデンサをそれぞれ+5V、+8VとGNDの間に入れます.
このコンデンサを省略した場合、パソコンから供給される電源電圧が不安定になった場合にダイオードに供給される定電流が変動してしまい、順電圧の変動が温度変動によるものなのか電流の変動によるものなのかがわからなくなってしまいます。
使用するアナログ入力端子とGNDの間には0.1μFのセラミックコンデンサを入れておきます.このコンデンサは外部からのノイズやAD変換時のノイズを吸収する為のもので、特に精度や温度係数を気にする必要は有りません.
GUPPY−ADCとの接続にDB25のオスのコネクタ、ケースにはDB25用のコネクターケースを使用します。他に、内部配線用の若干の配線材、AC100V用の配線材とコンセント用のプラグが必要になります。製作例では、テーブルタップを模した形状としています。
全体の回路図は図4のようになります。
図4 交流電流計回路図
テーブルタップ型交流電流計の内部。非常にシンプル。
動作実験はWINDOWS用のサンプルアプリケーションソフト、DSCOPE.EXEで行います。詳しい使用方法などについてははDSCOPE.EXEのドキュメントやマニュアルを参照してください。
図5、6、7はDSCOPE.EXEで観測したAC100Vの波形です。負荷にはパワー調節のできるヘアドライヤーを使用しました。なお、電流の値は市販の電流計(日置、3187 POWER HITESTER)で測定しました。
この電流計は、真の実効値を測定するものです。
図5 ヘアドライヤーOFF、無負荷の状態
図6 ヘアドライヤーを「弱」で使用、530mA
図7 ヘアドライヤーを「強」で使用。6.54A
目標としていた0.5%の精度には達していませんが、単純に最大値から算出した値と真の実効値を比較した訳ですから、この程度の誤差は発生してしかるべきです。
本格的な電流計との比較では分が悪いですが、アナログテスターの測定・表示精度と比較するとかなり精度のよいものであると言えます。
使用するソフトウェアはCT.EXEというファイル名のものです。
このソフトウェアでは、真の実効値の算出はせずに最大値と最低値から交流電流値を求めています。
MS−DOSまたはWINDOWS95のDOSプロンプトからCT.EXEプログラムを起動すると、図8のような画面が表示され、1秒あるいは設定された時間ごとの交流電流の実効値が表示されます。
詳しい使用方法や内部の詳細はソースリストを参照してください。
| 標準電流計(A) | CT型電流計(A) | 誤差(%) |
| 6.71 | 6.67 | 0.54 |
| 4.74 | 4.7 | 0.76 |
| 0.57 | 0.61 | -6.65 |
| 0.55 | 0.58 | -6.11 |
表1 標準電流計と製作した電流計の測定結果および誤差
今回紹介したカレントトランスによる交流電流計の全容を理解するためにはインダクタンスと交流理論についての深い知識と理解が必要になってきます。たとえ回路や動作が一見単純に見えても、そこで起きているさまざまな現象を理解し、イメージできるようになるまでには大変な労力と時間が必要になります。
今回添付したサンプルソフトでは、真の実効値の計算はしていません。しかしソフトウェアの変更のみで十分対応可能になっています。
また、今回は市販の交流電流センサーを使用しましたが、カレントトランスに実際に導線を巻いて巻数による変化やカレントトランスの素材による変化を実際に製作・実験してみる価値は大いにあります。
この2点を今後の課題とすることで、より一層の交流理論とインダクター、トランスへの理解を深めてください。