照度計の動作原理


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参考文献1:浜松ホトニクス梶uフォトダイオード」

フォトダイオード

 フォトダイオードは光エネルギーを電流や電圧に変換するセンサです。広い意味で太陽電池も含みますが、通常は光の強度変化を捕らえるセンサのことです。

種類

タイプ 説明
PNN ごく普通のフォトダイオード
PIN PNの間にI層を挟むフォトダイオード
ショットキー 金属緘にできるPN接合を使う
APD
アバラシェ・フォトダイオード
高電圧を印可して、高感度にする

フォトダイオードの特徴

  • 光に対する直線性が優れている
  • 雑音が小さい
  • 感度波長範囲が広い
  • 機械的強度が高い
  • 小型軽量
  • 長寿命

動作原理

 受光面側(P型)と基板側(N型)の半導体の間にできるPN接合が光エネルギーから電気エネルギーへの変換をします。

 シリコンフォトダイオードは、通常P層は1μm以下の厚さのボロン拡散で作られます。PN接合部の中性領域は空乏層。
 製造時に、表面のP層から基板N層、底面のN+層までの厚さや不純物濃度を制御して分光感度や周波数特性を制御します。(図は参考文献1より引用)
 光子エネルギーがバンドギャップエネルギーEgより大きいと、価電子帯の電子は伝導体へ励起し、価電子帯に正孔(ホール)を残します。
 電子−正孔対は、P層、空乏層、N層のどこでも生成し、間の空乏層では電界によって電子はNへ、正孔はPへ引き寄せられます。
 N層中で生じた電子−正孔対のうち、電子はP層から流れてきた電子と共にN層に残り、正孔はN層を空乏層まで拡散し、加速されてP層価電子帯に集まります。
 このように入射光量に比例して発生する電子−正孔対は、それぞれN層、P層中に蓄積され、P層は正に、N層は負に帯電します。P層とN層の間に外部回路を接続すれば、N層側からは電子が、N層側からは正孔がそれぞれ反対側の電極へ向かって流れます。また、電流のもととなるこのような半導体中の電子あるいは正孔はキャリアと呼ばれます。(図は参考文献1より引用)

等価回路

IL :入射光による発生電流(光量に比例)
D :ダイオード電流
Cj :接合容量
Rsh :並列抵抗
R :直列抵抗
I’ :並列抵抗電流
VD :ダイオード両端の電圧
o :出力電流
Vo :出力電圧

(図は参考文献1より引用)
 この等価回路から出力電圧を求めると、次のようになります。



S :フォトダイオードの逆方向飽和電流
e :電子の電荷
k :ボルツマン定数
T :素子の絶対温度

 開放端電圧VOCはIO=00のときの出力電圧ですから 

 となり、I’が無視できるときはIは周囲温度に対し指数的に増加するのでVOCは周囲温度に逆比例し、Iの対数に比例することになります。しかし、微弱光になるとこの関係が崩れてきます。

 短絡電流ISCはRL=0、VO=0のときの出力電流ですから 

 となります。ここで第2項、第3項がISCの直線性の限界を決定する原因となります。ただしRは数Ω程度、Rshは10〜1011Ωとなり、第2項、第3項は広い範囲において無視できることが判ります。

電流−電圧特性

 フォトダイオードに暗中で電圧を加えると、図3@のように整流用ダイオードと同様の電流−電圧特性が得られます。(図は参考文献1より引用)

 しかし、光が照射されますと@の曲線はAへ移動し、更に光を強くするとBへとこの曲線は光強度に応じて平行移動します。
 AまたはBの場合に、フォトダイオードの両端子を短絡しておきますと、光の強度に比例した光電流ISC、ISC’がアノード側からカソード側に向かって流れます。回路が開いている場合には、アノード側を正とした開放電流VOC、VOC’が発生します。
 ISCは入射光量に対する直線性が優れ、入射光量10-12〜10-2W程の範囲では 、フォトダイオードの種類や使用回路などで異なりますが、9桁以上に及ぶ直線範囲を持っています。直線性の加減はNEPにより決定され、上限は負荷抵抗、逆電圧から次式のように求められます。



Psat :直線性上限入射エネルギー(W) ただしPsat≦10mW
Bi :接触電圧 (0.2〜0.3V程度)
R :逆電圧(V)
RL :負荷抵抗(Ω)
Sλ :波長λ(ramda)における受光感度(A/W)
RS :素子直列抵抗(数Ω)

 ただしレーザ光を微小スポットに集光したときは、実効的な素子の直列抵抗がおおきくなり、リニアリティは悪くなります。
 VOCは光量変化に対して対数的に変化しますが、温度変化が大きく光量測定には不適当です。

 ISCと VOCを入射光量に対してグラフに表わすと図4のようになります。(図は参考文献1より引用)

 光電流を測定して光量測定をする方法は、図5(a)は(IL×RL)の電圧をゲインGの増幅器で電圧増幅する方法です。(図は参考文献1より引用)
 直線性の範囲は小さく限定されます。このようすは図6に示されます。図5(b)は、OPアンプを使用する方法で、オペアンプのオープンループゲインをAとすると、負帰還回路の特徴のため、負荷抵抗RLに相当する等価入力抵抗はRf/Aと数桁小さくなり、理想的なISC測定が可能になります。広範囲のISCを測定する場合は、RL、Rfを切り替えます。
 図3@の曲線の0点付近を拡大しますと、図7のように電圧が±10mVの範囲では暗電流がほぼ直線的に変化します。この直線の傾きにより並列抵抗Rshが表され、熱雑音電流源になっています。(図は参考文献1より引用)

フォトダイオードの照度計への応用

 今回設計・製作するルックスメーターはGID−ADCに接続して使用するものなので、センサーGID−ADCの間に照度−電圧変換を行う回路が必要になります。
 GID−ADCに入力される電圧は±2046mVまたは0〜4095mVの範囲内である必要があり、計測可能な照度の範囲はある程度実用に耐えうるものであることとします。
 JISに規定されている照度の基準では、極めて細かい視作業を行う場所に必要な照度は3000〜1500lxと規定されています。室内での実験を行うにあたって必要な測定照度範囲はこの2倍程度は必要になるとおもわれるので、測定可能な照度の範囲はバイポーラモード動作時で最大6000lxを目安とします。
 GID−ADCの特徴の一つに、パソコンのシリアルポートから供給される電源を使用することで外部電源を事実上不要できる点があります。今回のルックスメーターも、回路全体の消費電流を1mA程度に抑えることで外部電源の不要な回路構成とします。
 蛍光燈、白熱電球を問わず家庭内で通常使われている照明器具は交流で動作しているために50Hzまたは60Hzの周期で明滅を繰り返しています。高速で照度を計測していると、この明滅によって正確な照度が計測できなくなってしまいます。
 ハイパスパスフィルター(HPF)や積分回路などの付加的な回路を設けて対処するのが一般的な方法ですが、今回は付加回路を組み込まずにパソコン内部で演算処理を行うことにします。 こうしておくと、一般的な照度計としての利用以外にもソフトの変更のみで白熱電球や蛍光燈の明滅の特性の計測やパソコン用ブラウン管ディスプレーの走査周波数の測定にも使用することができるようになります。

回路構成

 基本的な回路構成は図5(b)の回路を使います。
 ただし、この回路ですと出力電圧がマイナスになってしまいますので、そのままではユニポーラモードでの測定ができません。フォトダイオードを逆向きに取付け、プラスの電圧が出力されるようにします。

フォトダイオード

 照度計に使用するフォトダイオードは可視測光用のもので、可視域の光だけを透過する視感度補正フィルタが受光窓として用いられているものが必要になります。ここでは、浜松ホトニクスのS1133を使用します。

オペアンプ

 フォトダイオードS1133から出力される電流は暗電流時で10pAとなっています。従って、ここで使用するオペアンプはバイアス電流が少なくとも10pA以下、できるだけ小さなものである必要があります。
さらに、GID−ADCの電源のみでの駆動を考慮して消費電流が1mA以下のものを選びます。
以上の条件から、オペアンプはICL7611を採用しました。
 このオペアンプは、バイアス電流がティピカル(代表値)で1pAで、消費電力もIQピンの設定により10μA程度に抑える事ができます。

抵抗

 抵抗はオペアンプの帰還抵抗に使用します。 この抵抗値は、フォトダイオードのISCとGID−ADCに入力する電圧によって決定されます。
 この抵抗値を変更することで測定範囲を変更する事ができますが、オペアンプの出力電圧は無限ではありませんし、この抵抗の値をフォトダイオードの並列抵抗Rshより大きい値にすることはできません。ここでは100kΩの抵抗を使用し、必要があれば後程変更します。

コンデンサ

 オペアンプの帰還抵抗と並列に100pFのセラミックコンデンサを追加します。このコンデンサは、高い周波数域で回路が不安定になるのを防ぐためのものです。
 オペアンプのV+端子とGNDの間にノイズ対策用のバイパスコンデンサを付加します。ここには0。1μFのセラミックコンデンサを使用します。
  GID−ADCはハードウェア・アプリケーション側で電源端子に電源保証用のコンデンサを組み込む事をマニュアルで推奨していますので、推奨通りに25V4。7uFと25V33uFの電解コンデンサをそれぞれ+5V、+8VとGNDの間に入れます。
 電解コンデンサには極性があります。コンデンサのケースのマイナスの記号が付いている方の足がGNDに接続されます。 
照度計全体の回路図 写真1 GID−ADC用照度計 制作例

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