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低周波ノイズ?の解析
数理設計研究所 矢澤正人 2008/5/24

概要
 2008/5/20、前橋本部から、GID-SSSのZ軸におおきな低周波ノイズが出ているという報告が入りました。
 この日の北関東地方はとても風が強く、前橋本部の2階に設置したセンサが風の影響で頻繁に地震発生の誤報を出しており、風による建物のゆれを観察しようとしていて気付いたようです。

 調査の結果、この低周波ノイズは、50Hzのノイズとグラフ描画時のデータの間引きとのビートによるものであることが判りました。

 なお、この問題はSindoPanel.exeのグラフ描画の見栄えだけの問題で、保存ファイルには影響を及ぼしません。
 
 この問題を解決する方法はいくつかあります。
  • 計測震度の算出時に使用しているLPFの演算結果を逆FFTして描画データとして使用する。
    他の高周波・低周波ノイズも削減できるため、より地震波形らしい波形を描画できる。
  • 50Hzノイズをハードウェアで低減する。
  • データの描画方法を変更する。

 この問題の根本的な原因はZ軸に特有の50Hzノイズであると思われます。
 GID-SSSの加速度センサはADXL103/203で、XY軸に2軸版の203、Z軸には1軸の103を使用しています。また、Z軸のみ、主基板に対し90度傾けた副基板にセンサを取り付けてあり、帯域決定とADCの入力補償用を兼ねたのコンデンサも同様です。
 高周波ノイズの原因は、センサをADCと別基板にしたことによる配線の問題、コンデンサの位置、センサ品種が違うことによるもの、以上のいずれかではないかと予測していますが、いまのところ究明に至っていません。

現象の確認 生データの解析
 2008/5/20、前橋本部より、SindoPanel.exeの加速度グラフを低速スクロールで表示すると、低周波ノイズが認められるとの報告がありました。
 提供されたキャプチャ画像を見ると、稼動中の2台のセンサとも、Z軸のみ20秒周期くらいの振幅があるように見えます。
 早速太田研究室のセンサでも再現実験をしてみたところ、同様の現象があることが判り、同時に、センサの取付姿勢によらず常にZ軸の出力にのみ確認できる現象であることを確認しました。
 まず、ハードとソフトの問題を切り分けるために、ハイパーターミナルでGID-SSSの生データを受信し解析してみました。
 時系列プロットを見るとZ軸はX,Y軸に比べ全体的に幅広に見えます。また、FFTプロットを見るとZ軸のみ50Hzに非常に大きなピークがあります。
 低周波ノイズは、Z軸に特有の50Hzノイズが影響しているらしい。

時系列プロット、上からX,Y,Z軸。縦軸分解能はLSB、横軸はデータ数。

FFTプロット、上からX,Y,Z軸。縦軸は無次元のdB、横軸はHz。
MathCADファイル org.mcd
生データ org_data.csv



SindoPanel.exeによるグラフ及びデータの解析 低周波ノイズの再現
 SindoPanel.exeによる保存データとグラフ描画を比較してみたところ、グラフ描画では低周波ノイズが確認できるが、保存データでは顕著な低周波ノイズは確認できない。生データと同様、Z軸のFFTプロットには50Hzにピークがある。
 SindoPanel.exeの保存データとグラフ表示データは同一のものであり、にも関わらずグラフ表示では低周波ノイズが発生しているように見えるのは、低速スクロールをするために描画時にデータを間引いているためではないだろうか?
  
SindoPanel.exeの画面キャプチャ。床上に静止させたセンサで観測

時系列プロット、上からX,Y,Z軸。縦軸分解能はLSB、横軸はデータ数。

FFTプロット、上からX,Y,Z軸。縦軸は無次元のdB、横軸はHz。
MathCADファイル sss.mcd
Sindopanel.exeの出力データファイル sss.csv
 SindoPanel.exeで取得したデータを、10個ごとに間引いてプロットしてみたところ、SindoPanel.exeのプロットと同じ傾向を持つ低周波ノイズを再現することができた。
 この低周波ノイズは、50Hzノイズと画面描画時のデータ間引きのビートが表現されているものらしい。

時系列プロット、上からX,Y,Z軸。縦軸分解能はLSB、横軸はデータ数。

SindoPanel.exeの画面キャプチャ。床上に静止させたセンサで観測
MathCADファイル sss_10.mcd
10データごとに間引いたデータ sss_10.csv 元ファイルはsss.csv



ビートの確認
 低周波ノイズの原因が50Hzノイズと描画時のデータの間引きであることを確認するために、間引く間隔を変えて試してみました。
 20,30でも、10と相似形の低周波ノイズがプロットされ、5,9,11では顕著な低周波ノイズは確認できませんでした。
MathCADファイル sss_9.mcd

10データごとに間引いたデータ sss_10.csv

5データごとに間引いたデータ sss_5.csv

20データごとに間引いたデータ sss_20.csv

9データごとに間引いたデータ sss_9.csv

30データごとに間引いたデータ sss_30.csv

30データごとに間引いたデータ sss_11.csv

参考情報:SindoPanelのローパスフィルタ
 SindoPanel.exeの最も遅いのスクロール速度は10Pixel/秒で、0.1秒毎に一度、最新の1データをグラフ右端に追加しています。
 描画及び保存データは、GID-SSSから送られてくる生データに、一次のローパスフィルタを適用した値を使用しています。このフィルタはセンサの接地角度に起因するオフセットを除去するためのものです。

 SindoPanel.exeに実装しているフィルタのアルゴリズムは、下記の通りです。
gal = 最新の生データ
Buf = フィルタ後のデータ。次データのフィルタ処理にも利用する

Buf = Buf + (0.001 * (Gal - Buf));