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GPS受信モジュールGPS-54の評価

研究・設計 数理設計研究所 矢澤正人
yazawa@mail.wind.ne.jp
2006/1/13 更新

 トランスポンダ型野生生物標識システム地震計用基準クロックの研究の一環として、ポジション社のGPS受信モジュールGPS-54を試用しました。
 GPS受信モジュールはグローバルポジショニングシステムの名の通り、緯度、経度、高度、方位、速度を得るための装置です。これに地図情報や経路情報を付加して専用のユーザインターフェースを実装したものがカーナビです。

システム構築例

回路

 GPS-54をGID-MPCに接続して動作試験をおこないました。
 ただし、GID-MPCのマイコンとは接続せず、基板上の電源レギュレータとRS232トランシーバMAX3221のみ使用しました。

ソフトウェア

測位開始時間の評価

 研究室の駐車場でGPS-54による測位開始までの時間を評価実験をおこない、概ねカタログ値通りの結果を得ました。
 

  1回目 2回目 3回目 4回目 5回目 平均値 カタログ値(Typ)
コールドスタートから時刻情報取得まで 14 19 19 30 17 19.8 ---
時刻情報無し、コールドスタートから測位開始まで 73 48 49 84 54 61.6 60
時刻情報あり、コールドスタートから測位開始まで 35 55 48 36 --- 43.5 60
ウォームスタートから測位開始まで 26 39 36 37 45 36.6 38
ホットスタートから測位開始まで 7 4 3 3 2 3.8 8

測位精度の評価

 実際の座標との比較のほか、GARMIN GPS12XL、GPS38、PanasonicカーナビGarminとの比較を行う予定です。


GPS-54

概要

 高周波部とデジタル信号処理部をモジュール化しアンテナも一体化。電源(3.1〜3.6V)を供給し、RxとTxをMAX232などRS232用トランシーバICを介してパソコンのシリアル端子やマイコンのUARTに接続するだけで使用可能です。実用的にはバックアップ電池(2.1〜3.6V)も必要です。
 購入時にメーカから提供して頂いたデータシートは十分に判りやすいものなのですが、残念なことに転載・複製・開示禁止でメーカのWebページにも掲載されていません。

外形

 w20.8×d20.8×h7.9、重量20gとまずまずです。
 下側にある10ピンの端子は2mmピッチです。今回はコネクタや2mmピッチの基板を使用せず、2.54mmピッチのユニバーサル基板に実装して基板からピンまでジャンパ線で結線しました。
 本来はヒロセ電機A3-8PA-2SVというコネクタが適合するように作られています。 

通信部

 通信はすべて非同期通信のNMEA-0183フォーマットで、ASCII文字で行われます。各種マイコンのUARTに直接接続できるほか、RS232ドライバを介してパソコンのターミナルソフトと通信することができます。
 通信速度は4800〜38400bps、8DataNonParity,1Stop。デフォルトは9600bpsです。

コマンド

 コマンドはCRLFターミネートの可変長ASCII文字列です。コマンドにはチェックサムを含みます。
 コマンドには、後述するNMEAセンテンスの出力制御のほか、リセット、測地系変更、通信ボーレートの変更の4つがあります。
 コマンドによりセンテンスの出力を制御することができます。センテンスの種類ごとに指定時間間隔での送信を指定することができるほか、連続送信の停止と1回のみの送信指示が可能です。
 測地系は必ずWGS-84にします。
 測位開始コマンド入力後は、3秒間通信が禁止されます。

コマンド例

測地系をWGS84に変更  $PSRF106,21*F<CR><LF>
ホットスタート $PSRF104,0,0,0,0,0,0,12,1*10<CR><LF>
ウォームスタート $PSRF104,0,0,0,0,0,0,12,2*13<CR><LF>
コールドスタート $PSRF104,0,0,0,0,0,0,12,4*15<CR><LF>
完全リセット $PSRF104,0,0,0,0,0,0,12,8*19<CR><LF>
GPGGA 一回出力 $PSRF103,0,1,0,1*25<CR><LF>
GPGGA 1秒間隔で連続出力 $PSRF103,0,0,1,1*25<CR><LF>
GPGGA 連続出力停止 $PSRF103,0,0,0,1*24<CR><LF>

出力データ

 GPSモジュールが出力する測位情報はセンテンスと呼ばれます。GPS-54がサポートしているセンテンスは6種類です。 
名称 意味 内容
GPGGA GPS位置情報 時刻、緯度、軽度、測位状態(測位可、測位不可、推測測位)、
使用衛星数、HDOP、アンテナ高度、アンテナ高度の単位、ジオイド高度、ジオイド高度の単位
GPGSA 使用している衛星とDOP値 測位状態(測位付加、2次元測位、3次元測位)、
使用している衛星番号、PDOP値、HDOP値、VDOP値
GPRMC 最小構成の航法情報 時刻、測位状態(GPS測位、測位不可)、
緯度、軽度、速度、進路、日付
GPGSV 利用可能な衛星情報 メッセージの総数、メッセージ番号、現在位置にて仰角5度以上の全衛星数、
衛星データ、衛星番号、衛星の仰角、衛星の方位、衛星の信号レベル
GPGLL 緯度、及び経度情報 緯度、軽度、時刻、データステータス(データ有効、データ無効)
GPVTG 進路、及び速度情報 真方位、真方位の単位、磁北方位、速度a、速度aの単位、速度b、速度bの単位

センテンス出力例

 GPGGAとGPGGLを1秒間隔で出力させた例。ハイパーターミナルで取得保存。
$GPGGA,064921.035,3621.3008,N,13922.3711,E,1,05,1.8,81.2,M,38.6,M,,0000*6A
$GPGLL,3621.3008,N,13922.3711,E,064921.035,A,A*55
$GPGGA,064922.035,3621.3008,N,13922.3711,E,1,05,1.8,81.2,M,38.6,M,,0000*69
$GPGLL,3621.3008,N,13922.3711,E,064922.035,A,A*56
$GPGGA,064923.035,3621.3008,N,13922.3711,E,1,05,1.8,81.2,M,38.6,M,,0000*68
$GPGLL,3621.3008,N,13922.3711,E,064923.035,A,A*57
$GPGGA,064924.035,3621.3008,N,13922.3711,E,1,05,1.8,81.2,M,38.6,M,,0000*6F
$GPGLL,3621.3008,N,13922.3711,E,064924.035,A,A*50
$GPGGA,064925.035,3621.3008,N,13922.3711,E,1,05,1.8,81.2,M,38.6,M,,0000*6E
$GPGLL,3621.3008,N,13922.3711,E,064925.035,A,A*51

リセット

 電源ON前の状態によって3つのリセット状態があり、出荷時状態から一度もアルマナックデータの受信に成功していないか、直近4時間以内の測位情報が無いか、の2つがスレッショルドになっています。
 前回測位時と遠く離れた場所でホットスタートした場合や長期間電源を入れておらず内蔵時計の誤差が累積してからウォームスタートした場合は、測位にカタログ値以上の時間がかかる可能性がありますが、評価はしていません。
  アルマナックデータ 電源遮断前の
位置データ
現在の時刻データ

エフェリメスデータ
(4時間以内に収集したもの)

測位時間
(カタログ値)
コールドスタート/出荷時状態 × × × × 60秒
ウォームスタート × 38秒
ホットスタート 8秒

リセット時の動作

 電源投入後、初期メッセージを出力します。3秒間はコマンドの受付が禁止されていますす。
 電源投入後一度も測位に成功していない状態で電源を再投入すると、バッテリバックアップをしていてもコールドスタートとなるので注意。コールドスタート時は、時刻が23:59:48になります。バッテリバックアップができていないのかと思い、しばらく悩みました。
 出荷状態では表のようにデータ出力するようになっているので、電源投入後は初期メッセージに続いてセンテンスを自動的に送信します。
送信間隔 センテンス
1秒 GPGGA、GPGSA、GPRMC
5秒 GPGSV

用語集

アルマナックデータ 全衛星の概略の軌道情報。全衛星から同一情報を送信している。
エフェメリスデータ 各衛星が実際に送信した衛星番号と時刻情報。アルマナックデータと組み合わせると衛星の詳細な位置情報となる。
GDOP Geometrical Dilutionof Precision、幾何学的精度の低下率。PDOPとTDOPに分割することができる。
  =  (PDOP)2+(TDOP)2
  =  (VDOP)2+(HDOP)2+(TDOP)2
  =  (VDOP)2+(NDOP)2+(EDOP)2+(TDOP)2 
PDOP position dilution of precision、位置精度の低下率。HDOPとVDOPに分割することができる。
HDOP Horizontal dilution of precision、水平面精度の低下率
VDOP Vertical dilution of precision、上下方向精度の低下率
NMEA-0183 米国海洋電子機器協会(National Marine Electronics Association)が定めたGPS受信機用の通信フォーマット。ASCII文字列を使用する非同期通信。
WGS-84 2002年4月の測量法改正により、日本にの公共測量座標系にはWGS84を使うことに決まってます。
その他の座標系とは互換性が無く同じ
GMT 世界標準時。GPSの出力する時刻は日本標準時では無いので注意。
GMTに+9時間すると日本標準時となる。