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水銀温度計と測定時の注意点

研究・設計 数理設計研究所 矢澤正人
yazawa@mail.wind.ne.jp
2006/1/10 更新

 私が温度に関する実験をおこなうときに常用している温度計は、ISO1770/JIS B7411などの認定品や検定品ではなく、入手性の良い安価なものです。認定品や検定品は日本計量器工業などがを用意していますが、今のところ必要を感じていないので私は使っていません。

使用している水銀温度計

  • メーカー シンワ測定株式会社
  • 水銀棒状温度計 −20℃〜105℃ 30cm 商品コード72516 380円(税別) φ6×300mm 23g
  • 棒状温度計用金属ケース 30cm用 商品コード72729 550円(税別) φ8×330mm 28g 
  • パッケージのスキャン(PDF 1MB)
 ホームセンターで入手できるほか、メーカーのWebサイトで直販もしています。
 金属ケースは別売りですが、水温測定時は必ず使用しています。
 JIS/ISO品や気象庁検定品などもそれなりの意味がありますが、私たちの行う範囲の実験では公的な意味合いが薄く、水銀温度計である時点で0.1℃程度の繰り返し精度は期待できるため、安価なもので十分だろうと判断しています。
 基準温度計や標準温度計は、必要になった時点で入手します。
 JIS B7411はISO 1770との整合性の関係でかなり混乱しているらしいのですが、詳細はまだ調べていません。

棒状温度計による注意点

目盛りの読み取り

  • 信州手振蕎麦の調理状況
  • 水面ぎりぎりにある水銀上端の目盛りを水平目線で読み取るのが正しいが・・・
  • 実は、鍋の深さが足りず水銀全体を湯に浸せていない。読み取り値を後述の式により補正する必要がある
 0.1℃の単位を正確に読み取るには、かならず水銀上端を水平位置から読み取ります。 水銀温度計の細管は細くて見づらく、すこしでも目線が上下していると正確に読み取れるものではありません。
 0.1℃の単位を高い繰り返し精度で正確に読み取れるようになるには、それなりの訓練と馴れが必要です。

侵没

 棒状温度計は感温液(水銀)の全体が測定対象の中にあることを前提として目盛りが刻まれています。液だまりの部分だけが測定対象内にあると正しく測定することができません。
 どれくらい正しく読み取れないかを調べてみると、東日本計量器工業協同組合のWebページに温度計の使い方という資料の中で式が示されていました。
C = n K ( T - tm )
 C:  温度計の指示値に加える補正値(℃)
 n:  測定対象温度外に露出している細管の露出部の長さの度数
     (細管の露出部の長さを1℃の目盛り間隔で除した値)
 K:  感温液の温度形容ガラスに対する見かけの熱膨張係数
     (概算では、水銀では1/6300、赤液では1/900)
 T:  測定温度(℃)
 tm: 細管露出部の平均温度(℃)
 たとえば、測定範囲が-20〜+105℃の水銀温度計を使用し室温25℃の部屋で5℃の水温を測定するとき、0℃の目盛りまでを水に浸けて測定した場合は読み取った温度から0.333℃を引いた値が正しい温度となります。
C = n K ( T - tm )
  =  105 × (1/6300) ×(5 - 25)
  = -0.333℃
 

時間遅れ

 水銀にもガラスにも熱容量があるため、指示温度が安定するまでに時間がかかります。
 パッケージには5分以上時間をかけて測定しろとあり時間遅れを十分に待つよう促していますが、そうしている間にも測定対象の温度は変化してしまいますから単に時間をかければ良いというものではありません。
 測定の前に予め温度計そのものの温度を測定対象にできるだけ近づけておけば、時間遅れは最小限にすることができ、正確に測定することができます。
 測定すべきタイミングとなったときに、目盛りを瞬時に読み取れるように訓練しておくのがお勧めです。

攪拌

 測定対象が気体でも液体でも、測定対象を十分に攪拌しておく必要があります。
 逆に、温度分布を知りたいときには測定対象を測定により攪拌してしまうのを防ぐために、複数の温度計を固定しておく必要があります。
 棒状温度計は測定対象の攪拌に都合の良い形をしていますが、温度計をうっかり割りたくなければ必ず別の攪拌棒を用意しておくべきです。

  • 折ってしまった水銀温度計
  • バケツの水の水温を測定中、水を追加しようとして誤って折ってしまった
  • 金属ケースを使っても攪拌に使わなくても折れるときは折れる。取り扱いは常時注意