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代表取締役 玉置晴朗 2003/09/23 全員への提案
われわれの事業は日々の糧を求めるためだけではない。人はパンのみに生きるにあらずと言うが、パンも必要だ。パンと生きがいの両方を求めるために事業のありかたをまとめておき指針とする。
数理設計は研究所と言うとおり研究を趣旨とする。簡明に言えば「人に役立つ技術」といった看板だけではなく、防災を目的とした周辺技術の研究を志向している。しかし、どれが防災技術でどれが資金を得る目的だけなのか、そこは判然としない。なぜならば技術とは使う者の意思にかかわることで技術そのものに目的性がへばりついているわけではないからだ。
そこで、われわれは主に電子技術と理学を通じて防災に貢献したいと志向する。そのためには目的性を持って広く技術+理学的な研鑽を積んでいかなくてはいけない。
手持ちのプロジェクトは(3D、GID、微弱通信)である。これらが信号処理を結節点としてつながり、幾何学、離散数学、解析学などの数学と鉱物学、物理学、地質学などの理学、さらには電子回路のアナログ・デジタル設計技術と大きな関係を持っている。日々の会話にこれらの問題点が出るようになることが当面の目標となるだろう。
研究は人がするものであり未熟ならば何もなしえない。ニュートンが言ったように遠くを見渡すためには巨人の肩に立たねばならない。人は外界から情報を得ている、自らが情報を出すことではじめて情報は得られる。そういった情報伝達の技術があってこそ始めて研究者と言えるのだ。研究者とは官庁の役人のことではない。
しかし、同時に事業とはパンを得ることでもある。このパンを得ることと研究のバランスをどうとるかを以下の議論としよう。
研究とは他人が知らないことを我が理解にすることである。研究事業とはその理解を事業にすることだ。しかし、一人のなしえることは小さい。有意義な研究をするためには外部研究者との連携が大事であり必須でもある。研究の独自性と自由を維持するためには連携と協調が必要なのであって下請けにならないように努力したい。つまり、研究は必ずこちらの方針と戦略を立てて実施することだ。言われるまま依頼されたことだけをするならば研究とは言わず下請けと言う。どんな依頼された作業であってもこのスタンスを維持するならば研究と言えるだろう。
私はこの5年間ぐらい防災研究をしてきた。野外で安全に作業する方法、計算幾何学、LSIの試作設計法と作ってもらう営業的な関係など、すべては密接に関係している。研究員に手法を話してきたし文書として公開もした。これが総合科学+技術として防災になればいいと思っている。
研究とは何かといえば新しい理解の実体化=文書化なのだ。すべての研究はそこに行き着く。資金を調達しプロジェクトの課題を鮮明にしてプロジェクトを運営する方法から始まり、課題を解決するための実験手法、データの解析とミスの解釈、それら全部が表現されてはじめて研究だと言える。
その文書が元になって新しい装置や防災科学にいたるのだ。誰も努力せずに文書を書けやしない。誰も簡単に書けるのではない。この文書だって経験を実体化するために推敲に推敲を重ねて(読ませるために)書いている。
パンの話をしよう。零細企業は少し気を抜くとあっというまに下請けになる。独立・自立性を失うと研究業はやっていけないし、普通企業であってもおもしろい世界はひらけない。数理設計研究所が自由にありたいならば、他の企業に大きく依存するような運営は避けるべきである。ある時期、他社からの依頼で大きな収益があったとしても、翌年には無いと仮定したい。各プロジェクトが独自に採算性を確保する努力があれば依存しあえるようになる。つまり事業独自の採算性確保が自由に研究するための必須努力なのだ。
2003年はLSI関係でS1,S2社の開発案件があり潤沢な資金があるが来年も永続する保証はまったく無く、永続しない保障ならば簡単に得られる(私が断ればそれでおしまい)。S1社は幸いなことに複数の事業部からの依頼なので全体が一挙にポシャルことは無いと思われるのでS1A,S1B,S2社の3社、そして3DのS3研究所、GIDの日銭稼ぎ。その他、幸いなことに研究支援をしていただける2社がある。
かような形で依頼型の収益は多数に分散した形で運営するのがベストだ。基本的にGIDのように完全独自の商品ないしは技術を世間に提供する形が良いし、さらにDB構築に向けた展開が望ましい。同じような意味で3Dの事業努力が期待される。
私の管理する事業について言えば、キャッシュフロー改善に関係したものが多く、残念ながら直接的な研究とは言えないものが増えてきている。しかし、この他社との関係性を梃子にして微弱電波通信と信号処理を独自技術としてのろしを上げたいと考えている。
数理設計には3種の関係会社がある。いずれも信用と約束が大事である。
1つ目は、そこから開発案件が出てくる大きな会社であり当社の研究費捻出のためのお客である。ここは資金と技術を交換する取引の世界なので、厳密に商取引の原則に従う。
2つ目は研究費をいただいている会社である。これは期待にこたえるように研究そのもので努力せねばならない。
3つ目は同規模の友人企業であるが、彼らの運営には絶対にコミットしないことが重要である。企業とは運営と資金と人の事だ。仲間内だからこそ峻別しなくてはいけない。当社の研究員には細かな指示を与え、文句をつけ、文書改良点、勉強すべき事項を指示するが、他社の社員や運営には口を出さない。
数理設計は他者から運営についてとやかく言われたくない。研究ではそういう孤高性の保持が必要なのだし、数理設計から他社へ口を出さないのは我が身が思うように他者も思うであろうからだ。