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野外実験 赤城山
伝搬距離・簡易計算の検討
2008/05/01

株式会社 数理設計研究所 玉置晴朗
実験日 2008/05/01
記述日 2008/05/02 - 05/07
少しましな計算法として4波モデルを懸案としよう。
Index

概要

 当初は地蔵岳にあるレピータ施設周辺に設置して前橋までの通信を確認するつもりであった。しかし、最近の実験から長期設置の方針を変更し簡易距離計算法の導出実験にした。(地形の数値モデルを利用するものもあるが、現実的な困難が大きい)。

2008/5/1 限界距離を計算するための調査なので、送信機と送信から受信アンテナの系統として微弱電波規定から-6dB(12.5nW@DP=ダイポールアンテナに1億分の1.25W)に電力低減して調整した。1mそばに置いた受信アンテナからの出力が
 ・微弱電波規定= 1mにて -55dBm
 ・今回のシステムは 1mにて-61dBm

 この送信機を赤城山の地蔵岳山頂(△1673.9)に設置して大沼周辺で限界距離を調査した。

●システム
  • TX 微弱電波規定から-6dB(等価送信電力=12.5nW@DP)、地蔵岳山頂床面から1.5m高さ
  • RX 車載ANT 垂直1/2λDP 1.5m高さ
ちなみに、QRP記録で言うところのkm/Wとして計算すれば 2.062km/12.5nW=1億6000万km/W となる。あまり意味はないが・・・・・

●簡易結論 微弱電波送信機→垂直DP受信
3素子八木で受信すれば確実な実用距離
〜500m TX,RXは1.5m高さで通信できる
〜1500m 伝搬路⇔地形の間隔10mならOK
〜2000m 伝搬路⇔地形の間隔30mならOK
  
 受信には垂直DPを使っているので、周囲地物の影響を受けている、八木アンテナを使えば背後の影響が小さ、く利得も上がりSNRもよくなり、この実験記録にある旗でも実用可能になると思われる。山頂からは 最長2.1km、一般的には1.5km。平地では400mぐらいの性能を確認できた。

 簡易計算の手続き案
  • 距離からTRXの高度最低を計算
  • 送信側で最低高度の2倍を負にして見通し計算
m-6.png 2kmで知りたい場合TX設置位置を必要高度だけ負に(たとえば-6m)して計算したもので限界距離を見積もることができそうだ。(横にスジがある部分が怪しい地点となる)

考察

ワイヤレス通信工学」によれば、大地平面の上での限界距離近傍では距離の4乗に反比例する受信電力となる。これを直接波と大地平面からの反射波の合成として2波モデルという。移動体通信の街路では10波モデル(誘電体渓谷)が現実とよく整合するとかかれている。直接波と3回反射までの合成である。正確には直接波+大地反射波で2つ、3回反射まで4つの左右対称である。この場合には限界距離までマルチパス波が優勢になりかなりの距離まで、距離の2乗に反比例するらしい。

ワイヤレス通信工学」 Page53
送信アンテナを建物の稜線の上下両方に置いたときの,式(2.20)の10波モデルと,市街地実測データの双方において距離にともなう電力減衰は,比較的遠距離であっても,通常d-2に比例するさらに減衰指数は送信アンテナ高に比較的鈍感である.このような距離の2乗の減衰はd2で減衰するマルチパス波が支配的なためであり,2波モデルのような見通し波と大地反射波の場合はd-4で減衰する.

参考文献

ワイヤレス通信工学」 アンドレア・ゴールドスミス スタンフォード大学電気工学科 教授  丸善
伝搬損失とシャドーイング

実験計画

●簡易な距離計算法の開発

 微弱電波による中長距離通信での距離計算は数値地図などを使えば可能ではある。数値地図は全国的に50mメッシュがある。しかし、見通しの電波通路と周辺地形の距離を問題になり、その精度値が1mオーダーであることから最高精度の10mメッシュ数値地図では計算精度を満足できない。また、現実に設置する場合には詳細な数値地図などはえられないし、樹木や微地形の問題もある。ユーザが、ある地形条件で利用できるかどうかを知るために簡易な計算法を必要としている。

 目的は長距離到達の確認ではなく、限界距離の計算法を知るためだ。そこで、送信アンテナから受信アンテナを含めて微弱電波規定から-6dB(等価送信電力=12.5nW@DP)になるように電力を低減したシステムに調整した。微弱電波規定には6dBの余裕があり受信アンテナとして八木を使えば+10dBの余裕を確保できるであろうエリア図の作成実験をしたことになる。

●設置
 三角点近傍に三脚で設置。設置条件は北にある大沼側に見通しが良いところ。もし休憩所建屋の上に登れるのならその上が良い。
●観測
 観測して、受信できたところ、できなかったところの境目を詳しくGPS記録する。要は限界距離地点の確定が必要。 現在のSS受信ソフトは電界強度表示が困難なのでデジタル的に領域を決めて、その領域図から伝搬距離の簡易式を作成することになる。

予定地の地上高度6mで周辺を見渡した見通し図

 黒線経路で走行し、文字記号の場所とそれ以外でも、詳細な受信可能、不可能、中途半端な受信状態を記録する。中途半端とは一部受信の状態であり、自動車のアンテナ地上高1.5mを高くするか、6dBほどの八木アンテナに変更すれば受信できそうな状態だ。

 別途の考え方として、適当な実験用発信器(これは電波法でも認められている)で0dBmほどの実験送信をしてスペクトラムアナライザなどで電界強度を実地に測定すればいいとも言える。しかし、これは現地に出かけられるときか、大量に設置する場合の予備実験としてなら実施することができるだろう。

 ここでは地形図のみで推定する方法を考える。

実験記録

2008/05/01 赤城山 地蔵岳にTXを設置→自動車で大沼周辺を周回して受信状態を記録


送信機(TX) 位置から見た大沼周辺 カシミールとパノラマ実景に描いたGPS座標
 受信OK 、  一部受信できる 、  受信できない
DSC00742.JPG
小沼登山口、矢澤
DSC03329.JPG
地蔵岳・TX設置位置
DSC03351.JPG
20m離れた地蔵岳・三角点
DSC00745.JPG
赤城神社(049)から見た地蔵
DSC00743.JPG
5倍ズームで撮影
DSC00743X5.JPG
画像処理 見える!

map20080501.png 実験結果を地図にマッピングしたもの
青旗 受信OK 、 緑旗 一部受信 、 赤旗 受信NG

最長到達距離2062m、通信経路と高度の関係にもよるが、
実験としては適当に受信できない地点があって、簡易計算の
ための有意義な実験になった。 記録ノート PDF
  • 049 OK
  • 050 NG FLAGのみ受信
  • 051 OK
  • 052 OK
  • 053 NG FLAGのみ受信
  • 054 NG FLAGのみ受信
  • 055 OK
  • 056 NG
  • 057 NG
  • 058 NG
  • 059 NG
  • 060 NG FLAGのみ受信
  • 061 NG FLAG+ちょっと
  • 062 NG FLAGのみ受信
  • 063 OK 強力
  • 064 OK
  • 065 NG FLAG+ちょっと
  • 066 OK 強力
  • 067 OK
  • 068 NG
049 OK
1408m
050 NG FLAGのみ受信
1453m

051 OK
1481m
052 OK
1575m
053 NG FLAGのみ受信
1772m
054 NG FLAGのみ受信
2031m

055 OK
2062m
056 NG
1978m
057 NG
1856m
058 NG
1963m

059 NG
1930m
060 NG FLAGのみ受信
1844m

限界ぎりぎりに高度を設定してみた。
TX近くの大きなこぶの半分の距離=10m
RXの水面高度=4m
とするともっともらしい計算になる。
061 NG FLAG+ちょっと
1781m
062 NG FLAGのみ受信
1487m

063 OK 強力
1095m
064 OK
1130m
065 NG FLAG+ちょっと
1109m
066 OK 強力
1081m

067 OK
998m
068 NG
1048m

..end