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(C)数理設計研究所 玉置晴朗 2002/02/05
出典論文:
メスバウア分光による
酸化物高温超伝導体YBa2(Cu1-xFex)3O7-δと
異方性競合系FexNi1-xCl2の磁気的性質の研究
玉置豊美 【お茶の水女子大学 複合領域科学専攻】
以下は電子回路的にアレンジしたメスバウア分光法の解説で、数理設計研究所・玉置晴朗が書いたものです。
メスバウア分光法はいろいろな原子核で実現され、上記論文では放射性のコバルト(57Co)原子が鉄(57Fe)に変化するときに出てくるガンマ線を使います。
このガンマ線はコバルトが鉄に変化するときに光の粒子として14.4keVのエネルギーを持つγ線を出します。周波数に換算すると3.48 1018Hzになります。ひとかたまりのエネルギーとしては非常に大きく・・・つまり重いので発生源のコバルト原子をドッカンと蹴飛ばして発生し、コバルトは鉄になります。
これが飛んできて鉄原子を含んだものにあたると(共鳴吸収と言いますが)かなりの確率で鉄に吸収されます。鉄がコバルトになると考えてもいいでしょう。通常の電波レベルで言えば、送信機から電波を出して、まったく同じ共振回路を持っている受信機で受信されるのと同じです。しかし、この共振器は自然が作ったものですから恐ろしく性能が良い。![]()
γ線の発生源になるコバルトをゆっくり動かすとドップラー効果で周波数がわずかに変わります。原子そのものの共振特性は速度にして0.5cm/秒ぐらいの半値巾(帯域幅)を持っています。
光の速度が30万km/秒ですから、その比率が共振回路のQに相当し、約6G(ギガ)の値を持ちます。(6×109)コバルトと鉄の原子が静止している状態では上の計算が成り立ちます。しかし、これは絶対零度の話、実際には絶対零度では無いので原子はふらふらと動いています。
いろんな結晶の内部状態を知るためには結晶の成分としてメスバウア核と言われる、検出しやすいγ線の領域を持って扱いやすい、鉄のような原子をその結晶の一部として組み込んでやると周囲の結晶を構成する原子との相互作用がこの共振特性の特徴としてあらわれます。
γ線がどのように吸収されるかを測定し、固体量子力学で相互作用をモデル化してじっくり考えると、結晶の中で鉄の原子とその他の原子の並び具合を解明することができます。
論文にある「酸化物高温超伝導体YBa2(Cu1-xFex)3O7-δ」 をメスバウア分光法で測定する意味はここにあるのです。下の写真は測定したい結晶をいろんな温度の環境に置いて温度と吸収の関係を測定するための装置です。
右の写真→:
液体窒素温度まで測定結晶を冷却して測定するクライオスタット(一種の魔法瓶)です。下に突き出ている角棒の窓の中に「酸化物高温超伝導体YBa2(Cu1-xFex)3O7-δ」を入れます。写真の奥から手前がわにγ線が通りぬけられるようにテフロンの窓がついています。
実験するときには真空ポンプで断熱し、液体窒素を入れ温度制御しながら測定します。
下の写真:
ヘリウムデュワーと言い、液体ヘリウムで4.2K(零下268℃)まで使うものです。複雑な配管は液体窒素、液体ヘリウム、真空ポンプなどのパイプ。実験するときには液体窒素を使って気体ヘリウムを液化するエンジンを使って液化したヘリウムを入れて使います。
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