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思いの背景

研究・設計 数理設計研究所 Hal.T 2005/06/04-2006/01/06
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前書き

 人は思いをめぐらし論理をつみかさねる。書かれた歴史が示すように多くの偉人が多様な真理を述べ記録に残しているし、今でも思想と呼ばれるある種の論理が流布され、すたれていくように見える。今に至る科学や技術史の中でも完全な理解は得られず常に将来に変革の可能性を委託し、それが自然なのだと多くの人に受け入れられているようだ。  1970年代の学生運動、90年代に破綻したロシアの共産主義運動、混沌とした世界を混沌とした理論が我先に説明しようとする21世紀に向かっている。人は歴史的所産であると言う。これは時間の流れとしての事実と、所在の背景、つまりどこに生まれどのような環境で育つかによっているということだろう。人工知能の考察から本書で「思考」の原理と「思考の背景と発展」の様相を論考してみたいと思い立った。

思いの背景

序論 (漠然とした定義、思い、歴史、科学、人工知能)

 人が意見を述べる。完全に同じ意見を持つものはいないように見える。人の意見はなぜこんなに多様なのであろうか?。疑問はここから発する。 正当性、妥当性が個人にとって変更の余地があることもあれば議論の余地が無い場合も少なくは無い。
 人は、表にたつ論理を組み立てている背景をあまり表に出さないが、論理の特性からして短く提出される論理自体で説得性や正当性をもつことはほとんど不可能である。多くは対話される人々のあいだで共有される原理をときどきのよりどころとして提示・共有することによったり、暗に示すことで論理や意見の正当性を評価しようとする。ここに論理の特徴があり、論証の立脚点を巧妙に設定すれば同じ対象についてまったく逆の結論を示すことができることもある。
 ベトナム戦争が終わり、1997年に両国の関係者が集まり会議をした。戦争時のマクナマラ国防長官が「どうして秘密和平交渉を信用してくれなかったのか」と言うと、ベトナム側は「北爆で爆弾を落としながら、どうして和平案を信用できるのか」と答えた。どちらかの思想に乗ってしまえば結論が明快なことも、人の思考を導く背景が異なれば、まったく違う評価となるものの一例である。
 このような、歴史を振り返ってものを述べるとき、常に過去の事件がおきた当時の背景と人の思いを想起したとしても、後の世代ではすでに過去から出発したもろもろの事件が起き評価された思いの中で過去を振り返っているということが忘れられやすい。
 どのように歴史を評価すべきかを含めて、ごく最近の出来事から遠い過去の事件まで思考と言うものの性質が今の瞬間だけに寄ってないという意味をもっと厳密、または論考すべきだ。
 科学の成功は、そういった人の所与の中では例外的なものと見える。もちろん科学は単独で科学であるわけではなく、測定技術と一般の技術に支えられており、つまるところ世界を見る技術、世界を支配または操作する技術としての力に支えられている。
 高度に進歩したハードウェアに支えられれば人工知能ができるだろうと夢想するものはほとんどいなくなった。人工知能の夢は、その複雑さの中にズブズブと沈み夢のまた夢に終わろうとしている。
 エキスパートシステム、ニューラルネットなどともてはやされることもあったが、人が人である特性を分析せずに人工知能がうまく行くはずも無い。エキスパートシステムは人の知識の結果を論理だてているだけだしニューラルネットは昆虫の神経系でしかない。われわれが目指していたものは人工知能であり書籍の検索システムでもなく昆虫でもないはずだ。なぜ、書籍に書かれるような知識が昆虫の神経系から生まれるか? これも非常に面白い疑問ではあるが、あまり望みは無いだろう。それほどわれわれのもっている科学に期待してはいけない。  
 本稿は、人が思いを構築する過程についてひとつの仮説を提供し、その仮説がなぜ人にある種の統一的な枠をはめ、複雑な様相を示すのかについて解釈することを試みる。
 全体に渡って、思想的に進めることは人のなす技であるから仕方ないとしても、科学が成功した原理にもとづいて記述しよう。科学はつまるところ共通理解の上に推定を重ね論理を構築し、論理を実験や観察によって確かめられるということだとすれば、本稿の論述もプログラムによって確かめられるように構成すべきだろう。したがってときどきの骨子は数学的な記述である。それを自由に操作することによって知能の解明、人の思い、さらには人工知能に役立てば幸いである。

仮説

人の思いは時間段階的に構築される。

真理の正当性は信ずる真理と理論で判定
理論の妥当性は信ずる真理と過去の理論

 思いの源泉がどこにあるか、これは正しさの追求についても言える。
 事実は、その人の世界観を作り、事実の判定は世界観で認定される。人の環境が世界観を作り、その世界観で周囲の環境を見るということなのだが、環境を取捨選択する作用が含まれるので、一種の回帰方程式になる。
 環境に敏感な、このような回帰方程式であらわされる有名なものとしてカオスがある。まあそのようにモデル化できるのだろうかもしれない。人工知能の話ですけど・・・・

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