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(2007)能登半島地震
の観測


 サイトの趣旨
数理設計研究所 本部
玉置晴朗 Hal.T
2007/03/25-2007/07/07
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 2007/03/25 09:41に能登半島の西でM6.9の大きな地震があった(気象庁による「平成19年(2007年)能登半島地震」)。当社が防災のための強震計として実験運用しつつ社会提供している強震計・振動センサ(GID-SSS)も、群馬県の前橋本社と太田研究室でこの地震を観測することができた。
 高精度な強震計ではないが、自前の強震計でどの程度の事が可能か、きっちりと評価しておくべきだとして、GID事業部の評価とは別に本部でも評価してみる。
 群馬県から見て能登半島は西北西、およそ290度の方向にある。距離は前橋まで244km、太田まで268kmである。検出装置としては正規の地震計に遠く及ばない当社の強震計で検出した。本評価によれば遠方地震の震源決定や波形そのものを研究対象としない民間防災や研究のためならば十分な性能があると思われる。
 また、計測震度の計算は、単に震度計算の標準化だけではなく波形分析の1手法としても有用では無いかと思われます。いたらぬところ満載とは思いますが、ご意見をいただければ幸いです。mad@mail.wind.ne.jp

観測地

 気象庁によれば 2007/03/25 09:41:?? 深さ11km M6.9 であり、防災科学研究所の能登半島地震には能登半島の門前町の西南西沖から門前町の付近までに断層面があるとされている。

 数理設計研究所では群馬県の前橋本社と太田研究室で観測することができた。震源距離は、前橋まで244km、太田まで268kmである。検出装置としては正規の地震計に遠く及ばない当社の強震計で検出した。

前橋

 数理設計の本社である。建築様式としては重量鉄骨に発泡コンクリート張りの事務所というか倉庫のような家屋であり、基礎は布基礎に2m四方で厚み40cmぐらいの加重受け基礎を要所に持っている。私が自作すると言ったので、設計士が非常に心配して十分すぎるぐらいの設計をしたのである。サーバを置いてある部屋の隅、大きな基礎のすぐ脇にGID-SSSを設置している。
  MAPION NIFTY

太田

 太田市ではあるが、かなり桐生寄り。関東平野の北西端にある唐沢山の北側と足尾山地の間を流れる渡良瀬川が足尾山地の南端を削った広い谷だ。その河川敷にある「ぐんま産業高度化センター」内で3次元測定器を置くため、振動を嫌う装置のため特に頑丈に設備された2m厚コンクリートの床に設置している。
  MAPION NIFTY

観測

防災科学研究所の加速度リストでは
観測点 緯度 経度 最大加速度 (ガル) 計測震度
- 北緯 東経 N-S E-W U-D (参考値)
前橋 36.348 139.137 2 2 1 1.7
太田 36.291 139.361 2 2 1 1.5
地震発生時刻 2007/03/25-09:42:00.00
震央北緯 37.3° 震央東経 136.5°
震源深さ 50.0km マグニチュード M7.1
防災科学研究所の観測地は

前橋⇔前橋本社から5.3kmで本社の北部。いずれもほぼ同じ地盤。

太田⇔太田研究室から7.2kmであり、防災科学研究所のものは関東平野の北端、当社の太田研究室は、中生層の上にある薄い第四紀の堆積物の上にある。





  時間(秒)  青(前橋) 赤(太田)
 計測震度は0.5秒毎の計算です。直下型地震では秒以下の即時性が通報し対処できるかどうかの境目。
 GID-SSSは阪神大震災のコンビニ映像の記録でも初期的にはアレ!と言う感じがあり、それを検出できれば自動装置の停止や通報には役立つと思って直下地震の対策用として発起したものです。
 前橋と太田はNTPで時間をあわせている。1秒程度にはあっているだろうことで、適当に合成してみた。
 計測震度については前記の防災科学研究所とそれなりの対応は示していると思える。少し小さめに出るのは、公の観測所とは違ってセンサを普通の家屋に設置するので、車や家人の歩行から生ずる振動を抑制するアルゴリズムが影響していて震度1〜2ぐらいでは0.3〜0.5ぐらい小さく出ることがわかっている。ただし、震度がひとつ大きい3ぐらいになれば、誤差は急激に減り0.1未満になる。家人がドスドス歩く振動エネルギーを差し引いていると言っていいだろう。
 波形のみで観測するよりもP波、S波が明瞭に分離できるのはおもしろい。

時刻のずれ

 太田の方が遠いのに数秒早めにP波が立ち上がっている。私は地質屋ではないので、いいかげんなことを言えば、前橋はP波が前橋台地の厚い堆積物を揺らしてから届くのではないかと想像するが、しろうとのたわごとだろうな。「群馬の地盤(書籍)」によれば、前橋台地の100m深さまで、おおよそのP波速度は1600m、S波速度は400mぐらいと読み取れる。

センサの評価

 計測震度にして2未満の遠地地震がどのようなものになるのだろう。前橋の観測値をもとにセンサのノイズ、帯域巾などを評価してみた。以下に記述してあるフィルタは遮断周波数まで平坦な特性である。以下の波形グラフはすべて南北方向の観測から作った。


gal
  経過時間(秒) 説明:20HzのLPF
 センサからの元信号を20Hzまで平坦なフィルタを通したものだ。2gal(p-p)ほどはセンサ雑音であり、地振動の振幅は4gal(p-p)ほどだ。

gal
  経過時間(秒) 説明:2HzのLPF
 気象庁提示のなだらかなフィルタではないが、それに近い帯域フィルタと考えてもいいだろう。ノイズから地震波が分離できて280km離れた計測震度1ぐらいの震度観測ができることがわかる。

参考:気象庁のフィルタ形

gal
  経過時間(秒) 説明:1HzのLPF
 気象庁提示より少し狭いフィルタである。ノイズから地震波が分離されていてエネルギーとしては2Hz板よりも正確に計量できるのかもしれない。20秒前後の振動は後述するP波らしい(4/8)。

gal
  経過時間(秒) 説明:0.5HzのLPF
 遠地地震として、ゆっくりユラユラとした揺れを分離するフィルタだ。周囲雑音は排除されて、遠地地震の特徴(ユラユラ)がよくわかる。

gal
  経過時間(秒) 説明:0.2HzのLPF
 ユラユラを分離するさらに低い周波数のフィルタ。8秒周期ぐらいの揺れが主になり、眩暈(めまい)を感じるだろう。

LPFソフト

2007/04/10 追記
  • GidSSS_LPF.exe
  • 使い方
    GID-SSSによるデータをこの窓にドロップすると指定した周波数でLPF処理をしてCSVを書き出す
  • GID-SSSの元データ以外ではうまくいかない。
 たいしたものではない。元信号をFFTした後、高い周波数側の全部をゼロにして、逆FFTで戻すだけのものだ。当然ながらLPFとしての特性は見られたものではないが、波形観察には役に立つだろう。
 
20070325094301_maebashi.csv
を窓にドロップすると
20070325094301_maebashiLPF.csv
が作られる。sindo_panel.exeによっては最初の1データがなくなるが、まあ問題は無い。

このソフトで(1HzのLPF)処理をしたファイルのY軸部をエクセルでグラフ化したもの。

振動波形と計測震度







gal+1
 計測震度は過去20.48秒の加速度から算出しています。実際は累積時間にして0.3秒にわたって閾値Aを越える加速度Aからの算出が気象庁の計算法なので、大きな振幅が始まってから最短0.3秒で計算できます。解説 実際にはPCの能力との兼ね合いもあり約0.5秒毎の計算でした。
 前橋Y軸と、計測震度を並べてみました。計測震度は僅か遅れているように見えますが、先行するP波についてはノイズからよく分離していることがわかります。つまり、計測震度の計算は早期警報に役立つ可能性があります。
  青(前橋の計測震度 0.5秒毎)
赤(前橋の加速度 (LPF/0.5Hz))





  時間(秒)  青(前橋) 赤(太田)
 波形によるP波の継続時間、そしてS波に変化する場所はさだかにわかりにくいのですが。計測震度を見れば(大きさが)一目瞭然に変化しているのがわかります。この大きさが直接にP波とS波の切れ目であるとは言えませんが指標のひとつにはなると思われますので、できるだけ正確に初期継続時間(厳密にはP波ではない)を調べました。
 調査は、普段のノイズ(約0.1)から0.2あがるところ、そしてある程度落ち着いて、さらにその落ち着き期間のピークから0.2上がるところまでの時間とします。 
 その結果
・前橋では14.66秒、43.64秒→28.98秒
・太田では12.35秒、45.84秒→33.49秒
となりました。

 この値から大森公式(パラメータを7.5kmとして)を当てはめると
・前橋から 7.5*28.98 → 217km
・太田から 7.5*33.49 → 251km
となります。実際の距離は前橋まで244km、太田まで268kmなので、パラメータが少し大きく、8〜8.4と考えるのか、それとも、計測震度の計算値から読み取ったP波の継続が短めになるのかなのでしょう。はたまた地球の表面ではなく内部を通過するのでるので距離は少し短いとか?
 ただ、この計測震度値は波形のような複雑な挙動を示さないので、変化率を見るだけのアルゴリズムで自動読み取りが可能になる点がおもしろい。気象観測や地震研究とはまた別の話ですね。(防災用の地頭装置の制御向き)

P波の自動分離






  時間(秒)  青(前橋) 赤(平滑後の差分)
 もっとも専門家から見たら、それがどうした、と言われそうですなあ・・・。
 言い訳をすれば、前橋では計測震度0.7に達した瞬間にバッファにたまっていた20.48秒前から記録しているので、その前段階の計算ができないだけなのかもしれません。次バージョンでは1分ほど前から記録してみようかと思っています。
 なお、この計測システムの通常の計測震度値は0.0〜0.1なので、波形の形状から見てさらに6秒前に立ち上がりがあるとすれば
・前橋では10.61秒、41.14秒→30.53秒
前橋まで244kmなので大森公式の係数は7.99kmになり、もっともらしくはなります・・・・・。しかし、無いデータを元にものを申すわけにはいきません。
 試みに、前橋の計測震度計算を平滑化したものから差分値を計算してみました。最初の大きなピークは計測していない状態から始まったので無視してください。
 その結果、平滑の影響から、手動で読み取った
・前橋では14.66秒、43.64秒→28.98秒 
から遅れること2秒(20秒の平滑化と差分)として
・前橋では16.61秒、41.14秒→24.53秒
となりました。
 P波の継続時間を算出して震央を求めるなどの役には立ちませんが、各種の自動機械の制御のためにP波を分離する程度の意味はあるかもしれません。

参考情報

since 2007/04/07

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