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野生生物および自然環境調査用テレメトリ
数理設計研究所 玉置晴朗 Hal.T
2004/07/02

ハードウェアとシステム考察 テレメトリで遊ぼう 書きかけ
Index

電波法の問題

★ここに述べることは私(玉置)の考察であり、法律的な問題が無ことを保証するものではありません。アマチュア無線の本筋は技術的興味による研究なので、その趣旨に沿って未来を築きたいと思います。いろんな意見があるはずなのでメイルでご意見をいただければ幸いです。

 野生生物の移動や生息調査のためにアマチュア無線の(受信機とアンテナが安く入手できるので)144MHz帯近傍の周波数利用が多い。米国製のこれ→(微弱電力送信機のX線写真)は146.102MHzであるが、この周波数は地域消防や警察が使っている周波数であり、もちろん違法無線である。
 普通に入手できる無線装置では(電波法によって許容されている微弱電波装置)によって50m以上も到達させることはほとんど不可能なのです。したがって免許を得ずに数百mも到達する生態調査用のテレメータ送信機は「違法無線局」であることは間違いありません。また、それを知った無線局免許を持つ免許人は電波法80条によって郵政大臣に報告する義務を負っています。↓
(報告等)
第80条 無線局の免許人は、左に掲げる場合は、郵政省令で定める手続により、郵政大臣に報告しなければならない。
 一 遭難通信、緊急通信、安全通信又は非常通信を行つたとき。
 二 この法律又はこの法律に基く命令の規定に違反して運用した無線局を認めたとき。
 三 無線局が外国において、あらかじめ郵政大臣が告示した以外の運用の制限をされたとき。

 さて、ここからが本題。この条件をかいくぐる姑息な道はありません、それが法律と言うものです。ではどうするか?
 アマチュア無線の世界から違法無線を駆逐する立場もあります。しかし、良く考えてみると、遠距離の移動体に対して通信を確立したいという夢はアマチュア無線の原初的な願いと同じなのです。遠距離のアマチュアと「お話」するのもハムですが、自分の装置で通信して世界を知ることもハムの興味の範疇であったはずです。そこで、この野生生物のテレメトリがアマチュア無線の枠内に収まるように考えてみたいと思います。

 法律に沿えば
 1.電波法によって免許の必要無しと規定されている微弱無線
 2.業務用無線局 → 免許取得が可能なARGOSや、正規の実験局申請をする
 3.アマチュア無線局

1の微弱無線でテレメトリをする方法
 当研究所で研究中で特許提出まで終わりましたが資金難(と言うよりも日常業務の多忙)で完成していません。他の受託研究開発プロジェクトと抱き合わせでじっくりと進めている最中です。完成すれば送信電力が微小なので、電池運用で非常に長時間使えるものになるでしょう。微弱電波で1〜5kmのテレメトリが可能になると想定しています。

2は業務用なのでおいそれとは行きませんが可能性を捨てずにトライする道はあります

3 ここではアマチュア業務の範疇として考えます

局免許を取得する

アマチュア無線局は以下の定義によります
アマチュア局は、金銭上の利益のためではなく、もっぱら個人的な無線技術の興味によって行う自己訓練、通信及び技術的研究のためのものです(電波法施行規則第4条第1項第24号)。
 であるならばアマチュア無線で許可された144MHz帯の周波数を使うとしてどのようになるのかを検討してみます。

周波数

総務省 電波利用ホームページ JARLバンドプラン 
144.40-144.50MHz 狭帯域デジタル
145.65-145.80MHz 全電波形式 の実験研究用
などを選べます。

ID送出

 無線局はかならず5分に一度程度、できれば送信するたびに自己のID(無線局名=コールサイン)を(送出)表明しなくてはいけません。この表明方法は無線局免許状にある送信設備の電波形式などで決まり、音声やモールスコード、またはデジタル通信ならばAX25など公知のフォーマットでコールサインをアナウンスする必要があります。現代のIC技術ではそれほど難しくはありませんけれど、単純にツーツーなんて音を出している既存装置を流用するのは不可能です。

免許人

 当然ですが免許人はアマチュア無線従事者免許を持っていなければいけません。しかし、ここで誤解してはいけません。免許は送信局の設備として与えられるので(厳密には送信機+受信機)、正規のアマチュアが設備した無線局の電波を受信するためには免許は必要ないのです。

 たとえば 赤城気象ロボット は私が「金銭上の利益のためではなく、もっぱら個人的な無線技術の興味によって行う自己訓練、通信及び技術的研究のためのもの」として赤城山の地蔵岳頂上においてある無線局(コールサインはJA1QPY)で、通信相手は私を含むアマチュアで赤城山から30km離れ、JP1COKが太田、JA1QPYが前橋に向けて気象および装置内部の温度を通信しています。
 運用は私の管理下にあり、受信は免許を必要としていませんので、1600m高層気象を知りたいグライダー、雷雲の研究者などが受信して利用しているようです。私に、「アマチュア業務として妥当か?」と聞かれたら、「非常に環境の厳しいところでシステム全体の運用実験をしています」と答えるでしょう。運用の詳細は赤城気象ロボットの記録と解説 にあります。

免許を持たないあなたへ

 以下は、現実に野生生物の調査をやっているとして、どのような対処法があるかを述べます。

 いちばんストレートな方法はARGOSなどの局免許が取れる高価な設備を利用することです。ただこれは(地表から宇宙)への通信が前提となっていますけれど、業務無線局として免許が取れます(もちろんプロの免許が必要)。  2番目はアマチュア無線の免許を取るか、免許を持つ友人に無線設備を増設してもらいます。ここで問題は上に述べたIDを自動送出する市販装置が無いことです、当方で作ることはできますが、右から左へと製造するわけにもいかないでしょう。実際、最初の一台を製造するためにはかなりのコストがかかります。このコストは野外運用して安定に動くための実験コストです。それさえクリアすれば、アマチュア向けに安定供給することはできるでしょう。
 この場合には注文を受けて、当方でコールサインを埋め込んだ装置を製作し、免許を持つお友達と一緒またはあなた自身がアマチュア無線局を開局することで合法無線局になります。もちろん免許を持つ人が山岳地で無線設備の研究をするんだっていう立場を固持する必要があります。送信機の設置者は口が裂けても「業務でやっている」なんてことを言ってはいけません。

 アマチュア無線をしている人間としていささか変則的ではありますが、ものは考えようです。アマチュア無線は法律の定義もありますが、実際は無線技術を媒介にした世界的な技術者共同体です。すでに定まったアマチュア無線の研究としては通信技術や電波伝搬、装置の研究があります。電波を利用した利用技術として野生生物観測もひとつの分野になりえると考えています。

 そのためには送信機の設置者はぜひとも、この共同体へのパスポートである従事者免許を持つ必要があるのです。これを抜きにしては何も進まないでしょう。あなたが無理ならば、このページを免許を持つ友人に見せ、ぜひ共同研究を持ちかけてみてください。

 念押しとして書いておきます。
●送信機は免許人が局免許を取得して運用する義務がある。逃げ道はありません。
●受信するだけの人には免許の必要はありません。

提供可能性

 (仮称)GID-TELEMETORYとして試作することは可能です。全体的なシステムとしてどのようなものが良いのか、また出荷数としてどれぐらいになりえるのか。いろいろなパラメータがあります。研究開発費をどのように製品価格にするかなどの問題があります。企業的にいえば最終製品が1000台出ても1台あたり数千円高くなるでしょう。
 約10年前、アマチュア無線にデジタル通信を実現するときにもいろいろな意見がありました。じっくりとひとつひとつ問題を解決し説得して公的な認知を得た経緯があります。テレメトリは立派なアマチュア無線の研究範囲だと思っています。拙速に免許を持っていないからとあきらめず、電波利用法の1研究として正式に認知されるようにじっくりとやりたいものです。
 必要なスペックを収集して検討したいと思います。 →【ハードウェアとシステム考察 テレメトリで遊ぼう 】

参考情報


パッシブ法

 ダイポールのセンターにPINダイオードを挿入し既知の低周波信号(1kHz)または同程度のデータパターンで変調し、それを反射体とする。
 おおむね反射面積は0.4×0.25=0.1平方λぐらいになる。

反射電力の見積もり

送信電力 P0
距離 L λ
断面積 S λ^2

無指向性アンテナを使用したとして
ターゲットへの電力 P1

P1=P0*S/(4πL^2)

受信もほぼ同等の断面積Sを持つとすれば
受信電力は

P2=P1*S/(4πL^2)
=P0*S/(4πL^2)*S/(4πL^2)
=P0*(*S/(4πL^2))^2

送信電力 20dBW (10W)
受信電力は-80dBWで受信可能とすれば
100dBの損失 l==40λ
120dBの損失 l==126λ
140dBの損失 l==398λ
160dBの損失 l==1261λ

☆相関処理をするとレスポンスが遅くなり、ビットレートが1kHzの場合では1秒以上かかるようになるだろう。

☆送信電力は有免許局(放送波など)の空間電波を利用することも可能である。その時はかなりの電力を期待することもできる。国内ではFM放送波などを使うことも考慮の余地がある。
概算の限界距離
システム 距離(m)
10dBi八木
距離(m)
20dBi八木
送信電力10W、435MHz 47 84
 +同期相関(1kBPS、1秒)  84 156
 +SS相関(10ビットPN、1kBPS) 156 265

..end