1976年8月14日  場所:黒部湖西岸中ノ谷で起きた土石流レポート

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(KUROSAKI)
 日時:1976年8月14日  場所:黒部湖西岸中ノ谷  氏名:黒埼
 沢水の巾、 2〜3m 沢全体巾 50mくらいの河原、上流は狭いV字谷 V字谷両側の傾斜、 30度以上、崖に近い 植生の種類 広葉樹林

(TAKENOUTI)
 76年8月14日  松本=大町=扇沢−黒部ダム・・・ダムの淵を歩く。  中の谷の橋を渡ろうとしたが、目前で、大雨のため鉄砲水で増水し、橋は壊される。  一応避難テントを張り、ココアを飲んで落ち着く。  
(KUROSAKI)
 大きさはマイクロバスほどもあったように思える。  見ているうちに、そのガレ場に座っていた巨岩が動き出した。  巨岩は滑り落ちた。そしてガレ場が漏斗状にくびれた所で一旦は留まる。漏斗状のガレ場は下の口を巨岩に塞がれたが、水は土砂と岩石を詰まった漏斗に流し込む。岩石は巨岩の上に溜まる。  
(TAKENOUTI)
 中の谷直前の丸木橋を渡ろうとし、橋のかなりの手前の河原で様子を見ていた。  しかしなんとなくヤバイと感じていた。 沢幅ははじめは4〜5m。河原の石の高さと同じほどの水面位置であった。深さも徒渉可能な位のようす。ただし、近くに寄るのは危険と判断し近づかなかった
(KUROSAKI)
 巨岩は再び動く。ガレ場を流れ下る泥水に足元を崩されたのだ。  巨岩が走った。溜まっていた土砂が、ガレ場から中ノ谷本流に落ち込む。  岩石と土砂は沢の濁流と合わさり土石流となって沢筋を流れ下って来た。沢が盛り上がる。  
(KUROSAKI)
 土石流には石も岩も浮かぶ。浮かんだ岩と岩が衝突して「ガン、ゴン」と音を立てながら目の前を通って行く。  岩石と土砂を含む土石流は破壊力が大きい。今までの流れの筋を無視して突き進む。流れの中に見え隠れしていた簡易橋は跡形も無くなる。
(TAKENOUTI)
 沢の流れが急に盛り上がったような感じがした。
(KUROSAKI)
 河原に生えた立木も根こそぎ飲み込む。
(KUROSAKI)
 巻き込まれた木は岩石に当たり散らされて枝や根を失い、たちまちのうちに皮をむかれて丸裸になり流されて行く。  
(KUROSAKI)
 黒部湖は深い。土石流はダム湖の底に沈み込む。土石流が流れ込んだ湖水面は、沢の口こそ泥で濁るものの、沖を見れば青い水を湛えている。その向こうの対岸には後立山連山に続く尾根が霞んでいる。いつのまにか雨は止んでいた。
(TAKENOUTI)
 黒部湖への注ぎ口は茶色となっており、徐々にその半円形の茶色は広がっていった。