三囚人問題にみるベイズの定理と直感

2004/07/27 Fujinaga


 「考えることの科学」 市川伸一著に、三囚人問題と著者らによる三囚人問題の変形版があり、直感とベイズの定理を適用した結果が食い違うと述べられている。

三囚人問題(作者不明)

 3人の囚人A、B、Cがいる。三人とも処刑されることになっていたが、王子が結婚するというので王様が一人だけ恩赦にしてやることになった。誰が恩赦になるのか決定されたが、まだ囚人たちには知らされていない。
 結果を知っている看守に、囚人Aが『BとCのうち、どちらかは必ず処刑されるのだから、処刑される一人の名前を教えてくれても、私に情報を与えることにはならないだろう。一人を教えてくれないか。』と頼んだ。
看守は、その言い分に納得して『囚人Bは処刑されるよ』と教えてやった。
 囚人Aは、「はじめ自分の助かる確率は1/3だった。いまや助かるのは自分とCだけになったので、助かる確率は1/2になった」と喜んだ。
 さて、看守の返事を聞いた後の囚人の助かる確率はどれだけか?

ベイズの定理に当てはめて計算すると
P(A恩赦|看守「B処刑」) = 1/3
 となる。囚人A が看守をそそのかすのに使った方便は正しかったのだ。

変形三囚人問題(下條信輔、市川伸一作)

 3人の囚人A、B、Cがいる。2人が処刑され、一人が恩赦にになることがわかっている。それぞれが恩赦になる確率は、罪の大きさを考慮して、1/4、1/4、1/2とされ、くじによって恩赦の囚人は決まった。
 結果を知っている看守に、囚人Aが『BとCのうち、処刑される一人の名前を教えてくれないか。』と頼んだ。
看守は、かまわないだろうと思い『囚人Bは処刑されるよ』と教えてやった。
 この返事を聞いた後の、囚人A の助かる確率はどれだけか?ただし、看守はうそをつかないこと、囚人B、Cがともに処刑される場合には1/2ずつの確率でどちらかの名前を言うことを仮定する。

P(A恩赦|看守「B処刑」) = 1/5
 この、ベイズ解1/5は、知らなかったときよりAの助かる確率が下がったことを意味する。
 著者自身、この結果に、はじめは驚いたと述べている。

考察

 最初の問題では、BとCの処刑される確率は同じであり、どちらかが処刑されることはあらかじめ分かっているという囚人A の言い分は正しかった。
 しかし、変形問題では、BとCの処刑される確率が異なりCが処刑される確率は小さい。だからCが処刑されるとわかれば囚人Aが助かる確率は上がり、Bが処刑されると分かれば(Cの恩赦の確率が高い分)Ahは不利になる。
 B処刑と答えるのは、Cが恩赦のときの100%とAが恩赦のときの50%である。
 言い換えると、C恩赦かつB処刑の確率は1/2であり、A恩赦かつB処刑と答える確率は、1/8である。
 したがって、B処刑という確率は 1/2+1/8 = 5/8となる(逆に、C処刑と答える確率は3/8である)。

 結局、C恩赦かつB処刑と答える確率が、5/8で、A恩赦かつB処刑の確率が1/8だから、1/5となる。

ベイズの定理 Bayes' Theorem

 ある仮説の正しさに対する事前確率とその仮説の元でデータが得られる条件付き確率とから、逆にあるデータが得られた元手仮説の正しさを確率的に求める定理である。


サーチエンジン超大手のGoogleと情報検索ツールを販売するAutonomyの両社もベイズの原理を採用し、百発百中ではないにしろ高い確率で適当なデータを探し当てる検索サービスを提供している。
http://ja.openoffice.org/1.1.2/download/

だそうだ。