MAD3D TOPへ 記述責任者 nagura.h@nifty.com 2002/08/23記 2002/12/04改訂 叶迫攝ン計研究所 名倉 裕

松木沢左岸測定 RIEGL LMS-Z420データの処理

 LMS-Z420データの細部、参照点の抽出、傾きの補正とデータ合成について


 複数の測定地点でレーザスキャナで測定したデータの座標系は、機器の設置によってまちまちである。
 1つの対象を複数の地点から測定したら、座標系を一致させなければならない。
 RIEGL LMS-Z420 はレーザビーム径が細く、水平、垂直方向の解像度が高い。
 これを利用して、座標変換の基準点をデータ内から抽出することを試みた。
 基準点を、ここでは参照点と呼ぶ。

 測定地点は3ヶ所、座標系も3セットある。

1.データ・リスト

 各測定地点で数回測定した。
 その中から、5セットのデータを採用した。
 採用したデータ番号は、下記の1、2、3、4、8番である。
 1、2盤データは、後でレーザスキャナを固定するトライブラッチにトラブルが見つかり、測定データに傾きが発見された。

・データ一覧

データ番号 原ファイル名 測定位置 対象 特記
1_0.07_0.07_1144_587.3DD 駐車場上部 左岸全体
2_0.01_0.03_1121_1534.3DD 左岸上部詳細
3_0.07_675_2361.3DD 工事小屋前 左岸全体 トライブラッチ交換
4_0.01_0.01_897_3298.3DD 左岸上部詳細
5_0.4_0.4_200_901.3DD 広範囲
6_0.2_0.2_401_901.3DD 上流河川敷 広範囲
7_0.07_0.07_550_1321.3DD 左岸全体
8_0.01_0.02_2514_1881.3DD 主要部詳細

・データの平面分布

 平面に投影した略図を示す。
 色は測定地点からの相対標高を示す。-20〜300mまでを赤(低)-黄-緑-青(高)で表した。

2.参照点の抽出 

 右岸の2地点からの測定データの合成のための参照点について記す。
 最初の測定地点「駐車場上部」のデータは明らかに傾いていて、レーザスキャナが垂直ではなかった事が明らかである。
 傾きの修正のために、長いスパンの信頼できる参照点群が必要である。

 次の図は、測定地域主要部のデータ点群を平面図で示したものである。(右が河川敷、上が下流)
 ここに参照点として抽出した特長点の配置を示した。(赤丸:拡大図参照)

・各参照点について

名称 写真 3DRiSCANイメージ AutoCADイメージ
(点は大きさを持たせた)
@
スーパーキャリア脇
標識板

 最も分かりやすい対象である。
 約1m四方の板らしい。
A柱

 距離があると頂部を捉えているかどうか分かり難い。
 ここではライン2つが捉えたため、大丈夫だろう。
BCDF
B電柱

 電柱は頂部に細いアングルが延びるため、距離によってこれを捉えられるかどうかが変わる。
 ここでもわからない。
 横棒が明確なら、主柱との交点を狙える。
 しかし横棒も遠距離では捉えられない。

 ここでは3、4では頂部、5は交点を採用したが、2つの測定地点から別の部分を捉えているようである。
 XY座標は信頼できるが、Z座標は信頼できない。
 したがって、傾きの検証には使いにくい。
上の写真
C電柱

 
上の写真
D電柱 上の写真
E道路脇壁屈曲部
 上流側

 3Dスキャナらしい参照点。
 多くの点群が、上辺の位置を保証している。
 曲がる部分としての端点よりも、全体の傾斜があてになる。
 そして上辺の交点も分かりやすい。
 CADで良く求められる。

 全体の傾きの検証に使いやすい。
F道路脇壁屈曲部
 下流側
上の写真

3.回転

 上の参照点で合成パラメータを作成。Merge3D(MAD3D Util.)で回転角度を求めた。
 合成はせず、Z軸周りに回転させて、方向をほぼ同じとしたものを示す。
 このデータを基準にして、傾きを求める。
 傾きの補正は測定原点を周りに回転させて行うため、原点を移動する前のここのデータで行うと易い。
3 Z-17.292°回転 4 Z-17.292°回転 5 Z-17.292°回転
6 Z27.956°回転 7 Z27.956°回転 8 Z27.956°回転

4.傾きの評価と補正、右回転

 参照点だけの3DSファイルを作って、上の参照点パラメータで合成した。
 点間を線分で結んだ図を示す。赤線:工事小屋前データ、緑線:駐車場上部データ。
平面図 正面図 側面図
 傾き補正法は、過去には大西山で試した方法がある。
 この方法では、φの広い範囲で信頼性の高い(或いは3軸にほどほどの精度の)参照点が必要である。
 ここでは数少ない参照点について、別の方法を試す。

  1. 評価
    傾きが最も顕著に現れているのは、側面図の参照点6-7の線分である。
    この線分は道路脇の土手であり、多くの点群によって保証されている。
    最初にこの軸を含む垂直面に沿って回転を補正する。
    緑と赤の線が平行になるように、緑の線分と点群を回転させる。
    回転は常に原点を中心とする。原点は緑データの測定地点である。
     
    →平面図上で、緑と赤のデータに、右回転17.914°を加える。(Z軸周りの回転)
     Y軸と参照点6−7の線分が平行になる。
     
    →側面図上で、緑のデータに右回転1.457°を加える。(X軸周りの回転)
     緑と赤の線分が、6−7間で平行になる。
     次図は修正後の三面図。
    平面図 正面図 側面図
     修正後の側面図では、6−7線分は平行になっている。
     この座標系(Z軸について回転してある)について、Y軸方向の傾きは無くなった。
     
     ここでX軸方向の傾きに注目する。
     正面図にはX軸方向の傾きが現れるはずだが、ほぼ合っているように見える。
     CAD上の計算値も、各店間のY座標距離は2.5mから2.7mで、0.2m以下に収まっている。
     平面図ではずれが見えるから、ここで施した修正を合成前に行って、再度合成をした。
     
  2. 再合成
     上記をふまえて、駐車場上部からの参照点データの傾きをを修正した。
     この参照点データによって合成パラメータを作成して、Merge3D による合成評価をした。
     合成誤差は、二乗総和=0.2127
     参照点は5個だから、1点あたり二乗平均値は0.043
     平均距離差分は、0.2mである。
     参照点を吟味すれば、更に良い値になると思われる。
     
  3. 結果
     ここまでの結果、駐車場上部データと工事小屋前データの合成図を次に掲げる。
     これだけのデータ量があると、さすがに壮観ではある。

以上