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霧の判別

宇奈月ダム排砂観測 RIEGL LMS-Z210測定データに拠る
目次
  1. 濃い霧
  2. 薄い霧
測定 2005/07/03-04
記  2005/07/07 株式会社 数理設計研究所 名倉 裕 

 今年の宇奈月ダム排砂測定は霧に見舞われました。目視の観測もできない濃い霧から、あるのがわからない程度の濃さの霧、そして幸いにも現れたクリアな大気。それぞれの状態を測定できました。
 レーザースキャナは提体に近い管理棟の階段踊り場に固定して、連続的な観測を実施しました。

1.濃い霧

 見えないものは測れない。レーザースキャナ測定で良く言う言葉です。
 濃い霧は人の目からも測定対象を隠すので、人の目以上に霧の影響を受けやすいレーザースキャナは測定できません。
 それでは霧はレーザースキャナにどう映るでしょうか。

 次の図は、濃い霧の中、ダムの上流側提体付近を測定したデータを表しています。
 右端にダム提体、上側は対岸、中央から左の黒い部分は提体上流側の水面です。
 距離をカラーコードで示しています。(近:赤→黄→緑→青:遠)
 水面はデータがなく、黒色で表されています。

測定データ

レーザースキャナ: RIEGL LMS-Z210
対象: 宇奈月ダム上流側
時刻: 2005/07/03 16:35
角度ステップ
 水平 0.12gon(0.108deg.)
 垂直 0.12gon(0.108deg.)
測定点数:水平 950点 垂直 536点

 左下から右上へ、刷毛で掃いたような橙色の形状は、明らかに地形ではなく、霧の流れを示しています。
 霧は上空を舞うので、距離60m以下を削除すると次の図になります。

 左下の橙色は河床と見えますが、右上の赤い部分は遠方の霧です。

 測定したデータ点群から距離60m以下の点群を削除し、CAD上平面図で表したのが次の図です。

 次の図は上流側から提体を見た立面図です。
 提体右側を覆うのが、ダムを超えて流れる霧です。
 水面はくっきりと現れています。

夜に入って照明に照らされた、霧に巻かれる提体です。
上流から川に沿って流れてきた霧は提体で遮られて溜まり、風に乗って越えて行きます。
上空は澄んでいます。

2.薄い霧

 「見えないものは測れない」なら、見えるものは測れるか。
 多くは是ですが、霧では人の目より大きく影響されます。
 「なぜ測れないか」「目に見えないほどの薄い霧、モヤがあるからだ」
 こんな事がよくあります。

 次の図は、上と同じ条件で測定した、霧が晴れた時の測定データです。
 上の測定の9分後、16時44分測定。

 霧模様は見えず、手前から遠方に向かって水面が単調に続いているように見えます。
 次に点群を平面図で表しました。

 横断面を作ります。

 図中、青い部分を切り取って、立面図を作ります。

 右側、水面を表す水平線上に、点群の塊があります。
 実際にはほぼ平らですから、これは霧です。
 霧の部分を赤に着色しました。

 平面図で表します。

 霧が水面上にあるのがわかります。
 この霧は目ではわかりませんでした。

 このように、レーザースキャナは目に見えない霧を発見します。
 しかしこの霧が、測定した地形を誤解させるきっかけにもなります。
 幸い、霧表面のデータは地形と違って凹凸が激しく、たいてい判別は可能です。
 大きな範囲を測定して一部を詳細に検討する際は、注意が必要です。

● 宇奈月ダム排砂の観測は、排砂が始まった当初から今日まで毎年実施しています。→ダム湖底の3次元測定

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