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LMS-Z420i 試験測定記

2006/01/07
株式会社 数理設計研究所 名倉 裕

 レーザースキャナ、リーグル LMS-Z420i を試す機会を得た。
 (有)和泉測量が購入したばかりの LMS-Z420i 。代表の奥泉さんに試験測定をお願いして快諾された。

 LMS-Z420(i) は、「見えるものをそのまま数値化する」レーザースキャナだ。LMS-Z210では有効距離が足りず、測りたい地域の1〜2割しか測定できなかった。Z420iなら6〜7割は満たせるだろう。

 LMS-Z420 から LMS-Z420i への移行に伴う新ソフトウェア RiSCAN PRO。 分解能が1桁上がったハードウェアの特長を生かして、反射シートの自動抽出と中心点座標を自動計算するという。
 基準点の正確な測定はレーザースキャナ測定の大きなポイントであり、自動化されれば測定、データ処理ともに作業量が半減する。

測定概要

 測定日時は2005年12月21日午後。晴れた寒風の中。
 測定対象は群馬県渋川市と前橋市の境、利根川にかかる国道17号線の阪東橋周辺。広い駐車スペースは反射シートの設置が自在。橋脚、切立った左岸と変化に富んだ地形と人工建造物が測定できる。
 参考:国土地理院 1/25000地形図 渋川(北西) 

 制御ソフトウェア 3DRiSCAN PRO は経験がないので、操作は和泉測量にお願いした。使い慣れた旧3DRiSCAN とは全く別物で、初めて使う者が簡単に操作できるものではない。設置、測定、撤収まですべてお任せして、ただ「あそこを測りましょう」「あっちからこっちまで細かく」など注文を出すのみだった。

 午後1時半頃始めた測定作業は、試行を重ねトータルステーション測定を終える頃は4時半になった。
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写真1 阪東橋の右岸下流側河川敷から測定

全周測定、部分測定

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図1 スキャン1回目 全周 反射強度マップ
 日暮れの早い冬の午後に始めたため、測定地点は1ヶ所にとどめた。大事な課題の基準点測定のための反射シートは約20枚を設置。レーザースキャナ測定終了後、トータルステーションで反射シートと橋桁面を測定した。
 
 レーザースキャナは、全周を測定した後、角度ステップを変えて、橋と対岸、上流左岸の崖、反射シートを50mおきに配置した駐車場を測った。

反射シート 設置と測定

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写真2 手摺に設置した反射シート


図2 2枚の反射シートの反射強度図
(赤丸内 逆L字型部分)
 
 
 反射シートを正確に測定する事は、座標マッチングのために大変重要な作業だ。場所、反射シートお大きさ、距離などを適切に判断して設置しなければならない。
 適切な条件を得る事が、今回の測定の最重要課題だ。

 反射シートを橋上手摺の外側に、距離 44m、124m、190mの位置3ヶ所に2個づつ設置した。1個は5cm四方、もう1個は5〜20cm四方のものを近距離は小、遠距離は大と使い分けた。(写真2)

 126mの距離にある反射シート2枚を測定したデータは、2枚を分離できなかった。(図2)

 2枚の反射シートの距離は40cm。反射シートの間は、シートサイズを引いて32.5cm。前後にずれている事と、見上げる測定なので、測定地点から見かけの距離は30cm以下だろう。
 レーザービーム径は、距離126mで約25cm。
 測定間隔は、距離126mで約26cm。
 2つの反射シートの間を狙う確率はかなり低く、どちらかの反射シートがビーム内に入ってしまう可能性が高い。
 レーザービームが間をすり抜けて、反射強度の低い点ができなければ、分離は難しい。
 0.12°の角度ステップ測定では、分離できる可能性は低い。


図3 橋左岸端 反射強度図

 角度ステップを半分(0.06°)にすると、2枚の反射シートを分離できた。
 図3 A部が、図2と同じ位置(距離126m)の反射シートであり、更に距離190mのB部反射シートを判別できた。
  


橋、対岸の部分測定

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図4 スキャン2回目 橋と対岸 反射強度図


 距離をおいて、橋上の手摺3ヶ所に設置した反射シートと、橋の左岸でカーブする国道17号線の周囲にある高反射能の標識、看板、キャッツアイを含めた測定。
 このデータを見ながら、自動測定すべき反射シートを指定する。
 
 反射シートと他の反射体の判別は案外難しい。机上では容易な作業だが、野外の日射を避けながらもPC液晶画面のコントラストは低く、困難な作業だ。
 傘などの用意が要る。

反射シート自動測定

 反射シートの自動詳細測定をするための作業は、見たところ次のような手順だ。
  1. 3DRiSCAN PRO が過剰に自動抽出した反射体を表示させる。設置した反射シートのほか、道路標識、看板、キャッツアイが自動的にマークされている。
     
  2. PC画面上で反射シートだけを判別、指定する。
     
  3. 自動測定を開始する。

 反射シートを指定する作業は、野外作業としては特に注意深さを要する。気がついた事柄を記す。

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写真3 阪東橋と左岸
図4中心部
  • 反射強度図の表示法にいくつか種類があり、フィルタのかけ方でも判別の容易さが違う。
    慣れが必要だ。
     
  • 現場で行うべき作業なので、傘の利用など、野外で画面を見やすくする工夫が必要だ。
      
  • 実際の測定では、反射シートをこれほど接近させて設置する事は稀である。
    基準点として自動判定したい時は、適度に離して設置しなければならない。
    実用上問題にならないだろう。
     
  • 図3、4で見られる通り、反射シート以外の反射体は多い。特に橋付近は反射体が集中する傾向があり注意を要する。
     
  • 反射シートかどうかわからない時は、反射シートとして指定して測定すべきである。
    間違っていても、反射シート1枚の詳細測定に要する時間は短く、あとで除外できる。
     
  • 判別を容易に、見やすくするために、原データをバックアップする前に、余計と思われるデータを削除すべきではない。
    失われたデータはもどらない。
    3DRiSCAN PRO になって、データファイルの構造が非常に複雑になった。
    しかしバックアップ・コピーは随時行うべきである。

自動化について

 反射シート部だけを自動詳細測定、この機能は素晴らしい。
 なければ全体を詳細測定しなければならない。LMS-Z210 とくらべて角度ステップが著しく細かくできる Z420i では、全体を詳細測定するのに要する時間が大きいのだ。
 
 座標の自動抽出も、手間を大きく削減する。
 結果の妥当性は、作業後座標マッチングした限りでは充分と見えた。結果の良否はむしろ、反射シートの設置とPC画面上の選択作業にかかっているように思う。

座標マッチングのために

 反射シートの測定が終わった後、レーザースキャナの向きを変えて、もう1度測定した。
 川に沿って約50mの間隔で配置した反射シートが、ちょうどレーザースキャナの真後ろになってしまったので、少し欠けた部分ができたらしい。360°全周が測定できるはずだが、理由は知らない。
 その他、左岸の崖地の詳細測定などをお願いして、レーザースキャナ測定を終えた。

 レーザースキャナ測定終了後、トータルステーションで反射シートを測定した。
 座標マッチングの結果は良好に見えるが、近く検証する。

終えて思う事

 レーザースキャナを載せる、90°傾けられる台はなかなか具合が良い。
 傾けて測定するためだけでなく、レーザースキャナの底部にあるコネクタ類を抜き差しする際は、傾けて行うと具合が良さそうだ。

 ソフトウェア 3DRiSCAN PRO の変貌ぶりに驚いた。
 旧来の 3DRiSCAN とは、操作が全く違う。旧型に慣れていても「ちょっと貸してみて」などと言えるものではない。
 機能が増え、データ量が増えた。ここで紹介していない機能も満載だ。
 手際よく測定するために、習熟が必要と思う。

 レーザースキャナの測量的な応用のために、ソフトウェア、ハードウェアともに、ほぼ体制は整ったと見える。


測定条件一覧

 (角度単位は全て deg.)

 全周

水平開始角 0.000  
水平停止角 359.880  
水平角度ステップ 0.120 ビーム拡大モード(2mrad=0.115deg.径)で、反射シートを見逃さない最大角
水平方向点数 3000  
垂直開始角 50.000  
垂直停止角 129.800  
垂直角度ステップ 0.120 ビーム拡大モード(2mrad=0.115deg.径)で、反射シートを見逃さない最大角
垂直方向点数 666  
総データ点数 1998000  
測定時間 4分08秒  
ミラー 回転モード 揺動モード(上下に往復運動)と回転モード(単方向回転)がある
ビーム拡大 ON ビーム径は標準(0.25mrad)の8倍(2mrad)になるという

 橋、対岸

水平開始角 73.769  
水平停止角 89.036  
水平角度ステップ 0.060 リーグルジャパンの初期測定お勧め角度
水平方向点数 255  
垂直開始角 67.879  
垂直停止角 97.879  
垂直角度ステップ 0.060 リーグルジャパンの初期測定お勧め角度
垂直方向点数 501  
総データ点数 127755  
測定時間 42秒  
ミラー 回転モード 揺動モード(上下に往復運動)と回転モード(単方向回転)がある
ビーム拡大 ON ビーム径は標準(0.25mrad)の8倍(2mrad)になるという

謝辞

 寒い中、レーザースキャナ測定、TS測定、座標マッチングをご披露いただいた(有)和泉測量の皆さんに感謝致します。
 (有)和泉測量 http://www.izumi-sokuryou.co.jp/

関連ページ

 反射シート自動測定データの検証


以上