ひとつ前へ  叶迫攝ン計研究所Topへ   記述責任者名倉 裕 目 次

レイテ島地すべり測定記−4
3月22日 測定初日
堆積地を一望の下に

(1) フィリピンへ
(2) マニラの一日
(3) 現地( Guinsaugon)へ
(4) 堆積地を一望の下に
  1. 空は晴れて
  2. 測定地点を決定
  3. 崩壊地へ
  4. 参照点作りと沢登り
  1. 測定開始
  2. 地上で測定 空にはヘリ
  3. ゲリラ!
  4. 明日の計画
  5. 帰着
  6. 測定地点からのパノラマ写真
(5) 測定2日目(3月23日)
  (工事中)

2006/04/24 株式会社 数理設計研究所 名倉 裕 

 待ちに待った測定の日が来ました。

  1. 空は晴れて

     5時半に宿を出て、約1時間でギンサウゴンの十字架がある川原に到着しました。少し離れた宿に泊まったチームはまだ来ません。宿で作ってもらった弁当を食べながら待ちました。「朝飯をどうしよう」という課題はクリア。メニューは定番で毎日同じ。翌日からは宿で食べて出発しました。2日前、JICAで聞いた「ソゴドの浜で食べる焼き魚はおいしいぞ」は、とうとう食べられませんでした。

     天気は晴。崩壊地の尾根に雲がかかっていて、崩壊地全体は薄いモヤに包まれています。これなら測定はできます。道中の足場も大丈夫でしょう。充分な成果が期待できます。
     
  2. 測定地点を決定

     崩壊地周辺のどこまで入れるか、まだわかっていません。
     この日、警備関係者も入って打ち合わせの結果、定めた測定地点は、前日新井場さんと話して決めた場所。崩壊地下端北側、森林が切れた小山の上です。崩壊地内では接近しやすそうで見通しが利き、堆積地全体と崩壊地の半分はレーザー光が届くはずです。崩壊地の半分まで測定できれば、どこまで行けば源頭部が観測できるかを把握できます。
     この小山の上までの行程は約1時間半と見積もられました。
     
  3. 崩壊地へ

     崩壊地に入る道は、車で川原から左岸(東側)の道(Somoil)へ出て、しばらく上流へ向かって北上。次の集落(Atuyan)で車を降りました。
     大きな荷物は荷役のリーチさん親子に任せて、小型機器、水1リットル、衣類(防雨)、食料などを詰めたザックを背負って徒歩で移動開始。日本の村と違って、人々が往来にたくさん行き来しています。「Hallo!」と声をかけると「Good Morning!」と明るい照れたような声が返ります。7時50分。
     まず川を渡りました。吊り橋ですが大きな荷物でも不安なく渡れます。川は浅く、ラフロード用4輪駆動車で渡った調査メンバーもありました。川向こうも集落で、行く手の川下方向は、車が充分に通れる幅の道が続きます。
     崩壊地の手前で道は水に浸かっていました。崩壊土砂が川を堰き止めてできた池です。池を迂回して下草の少ないココナツ林の中、踏み跡をたどると、出たところはもう、土砂が覆う堆積地でした。
     
  4. 参照点作りと沢登り

     堆積地の上端近くは踏み跡で道ができています。崩壊地を右に見て歩くと、堆積地と崩壊地の間に川が流れています。中ほどまで来たところで一休み。
     崩壊地のかなりの部分が見渡せるので、1個の特徴がある岩を見つけて、参照点として反射シートを置きました。崩壊地に向けて20cm四方の大きさで、黄色の当て板に貼ったものです。1kmくらいまでの距離なら発見、測定できるでしょう。
     
     川を渡って崩壊地内へ。源頭部方向から流れる川があって、それに沿いつつ渡りつつ登ります。砂と石の混ざった川原のような足元。ところどころ足が埋まるような柔らかい場所を避けながら歩きます。編み上げ靴の新井場さんとサンダルのリーチさんは割と無頓着な様子。
     最後は小山に登ります。たかだか30〜40mの標高差でしょう。20kgの荷物を背負ったリーチ親子は軽快に、私たちは「よっこらしょ」と登りました。
     

崩壊地周辺地図
鄭炳表氏(消防研究所)作成
今日の測定は右端のピークから

朝飯弁当
毎日ワンパターン

花谷さんとガイド、荷役のリーチさん

村内の吊り橋

道は水に遮られた
 
岩に抱かせて反射シートを設置
  1. 測定開始

     9時前に頂上に到着。徒歩約1時間の行程でした。ここが今回の測定の第1測定地点になります。今日はここだけで測定します。
     予想通り、堆積地を一望に見渡せます。堆積地の端から端まで有効距離内で、一気に測定できます。ただ崩壊地に近いあたりは凹凸が多く、凸部の向こうは陰になってデータが欠損します。
     源頭部との間には右から張り出した丘があって、見通しを遮ります。目視でやっと見えるくらいのモヤがかかり、レーザースキャナの有効距離が短くなると思われます。尾根は雲が現れては消えています。雲がなくとも尾根までは遠すぎて、ここからの測定は無理でしょう。
     測定方針を決めました。
     
    • 測定範囲:源頭部方向
      最初に測る。
      モヤの影響と、源頭部方向各部の距離を知る。
      モヤの状況を見ながら、他方向の測定の合間に源頭部方向の測定を再三試みる。
       
    • 測定範囲:下方(堆積地)
      全体を確実に測定する。
      他日の測定は期待しない。
      (他日は源頭部方向、他に注力する)
       
    • 測定範囲:側方
      輪郭、面をしっかり測定する。
      側方は他の測定地点からは測定できない部分があるので、漏れなく測る。
       
    • 測定時間
      終了予定時刻は午後3時としました。測定データ密度は時間に合わせます。
       
    • 参照点
      座標マッチングの要、参照点は2点だけ定めました。来る途中で堆積地に置いた反射シートと、測定地点です。崩壊地内をあちこち移動して参照点を設定することはできませんし、他の測定地点もまだ決定できませんから、測定地点からの視野はわかりません。
       
     測定を始めると時間はゆっくり流れます。心配した虫はいない。ヒルもいなかった。ここに来るまで予想外に順調でした。天気は良し。ただ好天で照りつける日差しが体力を消耗させたのか、翌日から体力が格段に落ちました。
     
  2. 地上で測定 空にはヘリ

     ヘリコプターで空から観測するため、玉置、笹澤チームは先に引き返して行きました。残った新井場さんも下山して、残ったのは矢澤君と私、リーチ親子、PHIVOLCSの担当者、警察関係者。リーチさんと話をすると、通じることもあれば通じない事もあり。スラスラと英語で話しかけてくるが、訛りがあって英語下手の私には辛い。わかりたいがわからないので問答の繰り返し、という場面が1、2度ありました。仕事を進める障害にはなりませんでした。
     レーザースキャナの設定をしては写真を撮ったり話したり。にわか雨が少しありましたが、しばらくすると止み、測定に差し支えるほどではありません。

     モヤの様子を見ながら源頭部方向を測ってみます。2200m以上測れる事があるし、1700m止まりの事もあります。1700mは源頭部斜面下端に届かない距離。もっと上(源頭部に近く)で測定したいと、欲が膨らみます。
     
     空では調査隊メンバーを乗せたヘリコプターが接近したり遠ざかったりしています。1回4人乗りで30分とか。十字架の方向で着陸してはまた飛び立ちます。初回の飛行は雲が多くて不運だったろうと思います。2回目からは尾根までよく見えたでしょう。
     
  3. ゲリラ!

     午後になって、「ゲリラ出没。速やかに終了を勧める」と携帯電話に知らせが入りました。既にヘリコプターを降りた玉置親方一行は「情報収集中、待て!」。しばらくして「ゲリラ警報解除」という趣の情報が伝わりました。
     情報の交錯に不安を感じ、早めに測定を切り上げる事にして、測定角度ステップを少し粗くしました。面積当りデータ密度は下がります。終了は2時20分頃でした。
     
  4. 明日の計画

     この日の測定は、測定設定点数、22000余。有効データ点数13000余。源頭部を狙って有効距離ぎりぎりの設定をしたので、測定不能の無効点数率が高くなりました。角度ステップが粗く、角度変更の移動時間が多くなって、測定速度は5000点/時を下回りました。
     「明日はぜひ、1km先の小高い丘の上から、現東部を測定したい」と考えました。問題はゲリラと道の有無です。道筋は何通りか提案されました。決定は明日です。
     ゲリラ対策の警備兵を配置するため、朝の開始時刻が遅れる事になりました。丘の上に着くのは11時頃でしょうか。
     それでも源頭部を測りたいのです。
      
  5. 帰着

     とてもくたびれました。外食の晩御飯はおいしく食べられたのですが、日差しのせいでしょう。データは間違いなくとれた事を確認して、バックアップしただけで眠りました。
     データの密度分布を確認しておくと、明日の測定のために良いのですが。
     

源頭部は雲がかかったり晴れたり。
全体にモヤがある。

堆積地を測るLPM-2K

こんな風にネ!

生活の知恵

矢沢君の小ナイフで

うどんかゼラチン

新井場、玉置、笹澤
みんなを乗せて源頭部上空をパス

ヘリから見た源頭部

ヘリから見た堆積地。

A地点からB、C部を測りたい。
A-Bの距離は1000m以上あります。

測定地点からのパノラマ


堆積地上流側 堆積地中央
南(右岸)
崩壊地下部右側 西 源頭部

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