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  1. 植生、構造物の削除
  2. 樹木のあるデータ点群
  3. 測定仕様
  4. 削除手順
  5. 削除例
  6. パラメータの追加

植生、構造物の削除
オーバーハング・トリマー

 (書き掛け原稿)
2007/08/22 株式会社 数理設計研究所 名倉 裕 

1.植生、構造物の削除

 レーザースキャナの高密度データは、測られる物の形を良く表します。300m先の樹木の枝の1つ1つ。車の形、立ち止まる人、電線、レール。データ化された点群から人の目は、点描画を見るように景色を解釈できます。
 しかし、そんな人の目の役割をコンピュータにさせるのは大変です。自然の地形から建物だけを取り出すには、色や直線的な、あるいは比較的単調な曲面を探し出せば足りるでしょう。人や動物を探るなら、動く物を、短時間に変化する物を記録すれば良い。このように、データ点群から特定の対象を発見するためには、目的に応じたデータ処理が必要です。
 反面、比較的単純な機械的操作で、いろいろな場面に対して効果的な処理法があります。ここで紹介する「オーバーハング・トリマー」は、その1つです。
 レーザースキャナで地表を測定する時、樹木や草花はたいてい邪魔になります。樹木の分布を調べたい時、地表と樹木は分離したいものです。オーバーハング・トリマーは、植生分離のための簡便な道具であり、エッジを抽出する道具にもなります。ここでは1例として、樹木と構造物を自動削除する例を紹介します。

2.樹木のあるデータ点群

 上図(→PDF)は、レーザースキャナで測定したデータ点群を表しています。面を測定した全データから、縦1列の点群を抜き出して、YZ平面上にプロットした側面図です。一定の角度間隔で測定して、646点のデータがあります。
 オーバーハング・トリマーは、点群を縦1列単位で扱います。

3.測定仕様

  • レーザースキャナ RIEGL LMS-Z420i
  • 角度範囲
    • 上 62.471 deg (天頂= 0 deg)
    • 下 126.599 deg
    • 間隔 0.099 deg
    • データ数 646 
 

4.削除手順 

 上図(→PDF)のA〜F付近の点群から、オーバーハング・トリマーのデータ点削除手順を述べます。地形にオーバーハングのない、単調な形状を想定しています。
  1. 単調な部分

    A-B区間では、上下角(天頂=0)が小さくなるとともに、XY平面上の距離が大きくなります。オーバーハング単調な地形です。
     
  2. 樹木の存在

    CからDで、突然距離が小さくなります。樹木があるためです。
    このオーバーハングから、Dを削除対象とします。Cより上下角が小さく、距離が小さい点は全て、削除対象になります。
     
  3. 更に樹木

    F部は、E部の点に対して上下角が小さく、距離も小さいので、削除対象になります。
     
  4. 削除データ全体

    こうして、赤色で表される点群が抽出され、削除されます。
     

5.削除例

5-1.家屋と樹木の削除

 中越沖地震で傾いた家屋です。
 レーザースキャナで測定したデータは、家屋は地形と分離した単独で、地形は樹木と家屋を削除した形状として処理します。ここでは樹木と家屋を削除する作業の一部として、オーバーハング・トリマーを使いました。
 地面は液状化した後で、なだらかな凹凸があります。

5-2.レーザースキャナ原データ

 測定は4ヶ所から実施しましたが、ここで紹介するデータは、上の写真を撮った位置から測定したデータです。家屋の正面です。
 上図(→PDF)は、全データ点群の正面図です。大きな木が繁って、家屋、地面と重なっています。

5-3.オーバーハング・トリマー適用後

 原データは123万点あり、有効データは104万点でした。無効データとは、空を狙ったり、レーザー光反射が小さく、測定できなかった点です。有効データにオーバーハング・トリマーを適用して、71万点を削除、32万余点が残りました。
 上図(→PDF)は、トリマー適用後の正面図です。地表は明確ですが、建物、樹木はぼんやりとして、重なって把握が困難な状態ではなくなりました。残りは他の方法と、手作業で削除しますが、作業は容易です。
 最終的な有効データ数は、31万点くらいです。
全測定点数 1,234,506
無効点数 196,273
有効点数 1,038,233
削除点数 714,487
残り有効点数 323,746

6.パラメータの追加

 オーバーハング・トリマーは、1つのパラメータを追加して、更に有用な道具になります。ここまで、上下角と水平距離の単調な増加だけを容認してきました。そこに「少しくらいいいじゃないか」と、「もっと刈り込んでもいいじゃないか」を追加します。

6-1.少しは許す

 「少しくらいいいじゃないか」は、オーバーハングを一定量だけ許容します。
 残し方は、
  • 一定の水平距離
  • 距離に対応する水平距離
  • 角度
 「少しだけ」の値(適切な設定値)
  • 距離誤差の範囲
    誤差の吸収。
  • 斜面の特性に拠る値
    垂直に近い面を残す
    オーバーハングが重要な時

樹木の枝は下を通る光軸を許すので、枝に当る時、水平距離は一気に大きく短縮されます。これに対して岩のオーバーハングは、上下角の小さな差異で大きく変化する事は稀です。岩のオーバーハング形状は樹木が作り出す突起より穏やかな変化をしています。
 そこで「上下角が0.03°違ったくらいなら、20cmくらいの戻りは削除しないでもいいじゃないか」という考えが生まれます。もちろんこの「20cm」は、距離の関数としても簡単に実現できるし、それなりに効果的です。
 許容量を設定すると、トリマーで岩の下半分が損なわれる事が無くなりますし、絶壁を表すデータの半数が損なわれるという事もなくなります。
 ただし許容量は、目的、測定対象によって適切に設定しなければならず、利用が難しく、経験に依存する要素が1つ現れるという困難も生じます。

6-2.もっと刈り込む

 垂直面の削除。
 誤差の吸収。
 dR=誤差範囲、or 適当な設定値

 「少しくらいいいじゃないか」の逆に、「もっと刈り込んでもいいじゃないか」があります。オーバーハングどころか、微細な急傾斜部分も消してしまうのです。それで何か良いことがあるのか。
 残し方は、 「少しだけ」と同じ
  • 一定の水平距離
  • 距離に対応する水平距離
  • 角度
 「もっと」の値(適切な設定値)
  • 距離誤差の範囲
    誤差の吸収。垂直面の完全な消去。
  • 斜面の特性に拠る値
    垂直に近い面は要らない、など

6-3.データの省略

 レーザースキャナの誤差に拠る細かい変動を抑制できます。
 近距離の過剰な高密度部分のデータを、適度に削除できる。

6-4.「少しは許す」方法の色々

 長さで
  距離依存
  絶対値
 角度で
 角度と距離で
 
 目的に応じて選択

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