福井で開催された砂防学会研究発表会の帰り、5月25日、門前町を訪ねた。地震の被害が集中した道下地区に住む古くからの友人、森さんに早朝の町を案内していただいた。朝から強い雨の荒天だったが、昼ごろには小降りになった。案内された道筋を一人で周り、2ヶ所でレーザースキャナ測定を実施した。
3月25日の能登半島地震からちょうど2ヶ月を経た道下は、見た目より被害が大きく、海岸には仮設住宅150戸が並んでいた。地震直後は多くあっただろう破損した家屋、構造物のほとんどは、片付けられていたようだ。

藤浜の海岸

藤浜の海岸

黒島、防波堤近くの島 |
隆起した海岸
道下から海岸沿いにしばらく南、藤の浜というバス停のそば。車を止め、指差す先は、能登らしい磯だった。言われて良く見れば、岩の下端は白く変色している。隆起して海面上に露出した部分で、40cmくらいかな、と言う。最初にこの風景を見た時は何が起こったか分からなかったが、よく見、考えたら隆起していたそうだ。
ここは岩のりの産地で、部分的にコンクリートを打って、のりが繁殖しやすくしてある。このあたりは干満の差が小さいが、荒波に洗われる岩にのりがつく。40cmの隆起で、今年はのりが採れないかもしれないと心配する。
道下の南隣、黒島にある防波堤。下端が白く見えるのは、やはり隆起した部分。付近の岩場も下端が変色しているのが見える。 |

鹿磯地区の海岸

防波堤の上から |
八ヶ川
隆起した海岸を見た後、八ヶ川の河口に近い橋を渡って鹿磯地区に入った。河口近くの海岸に変色は見えない。川を境に、左岸が隆起して、右岸は隆起していない。
右岸側、鹿磯地区の被害は、道下に較べれば被害率はいくらか少ないように見える。しかし周辺の山は、随所が崩れて地肌が露出している。地肌の部分を後でレーザースキャナで測定した。
八ヶ川は、門前の街中を国道249号線に沿って東から西へ流れ、道下で海岸に達する。 |

清水橋 左岸下流側から撮影

清水橋右岸側 |
八ヶ川にかかる橋
町内を流れる八ヶ川にいくつもある橋の内、清水橋という橋だけ通行止めになっていた。中央の橋脚上で少し折れているように見える。
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補修された橋端 |
橋の多くは両端でアスファルトで補修されていたが、新しいもののように見えた。 |

和田のマンホール |
マンホールの突出
道下から八ヶ川を遡った和田では、マンホールが道路に突き出した姿が随所にあった。写真のマンホールは突出高さが一番大きなものの1つ。国道のマンホールに突出はほとんどなかったが、多くのマンホールの周囲は、少しづつ補修されていた。
マンホールが突き出している割に、付近の道路のひび割れや破壊は案外少ない。家屋が建つ地面にもひび割れはあまり目立たない。盛り土が少ないせいだと聞いた。切り土は無事だが、盛り土は崩れた場所が少なくないそうだ。門前は土を盛ってまで住まなければならないほどの事情はないという。
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和田のマンホール |

市街地、木で囲った土壁の家 |
家屋
市街地の家々は、一見無事に見える。しかし多くの家の屋根にはブルーシートが載っている。古い家は外壁が板でも中は土壁が多く、内部は崩れたものが多い。土台が駄目になった家も少なくない。町並みに傾いた家が少ないので、被害が少なく見えるが、全壊判定の家屋が多く、既に更地になって歯の抜けたようになっている土地があちこちにある。 |

屋根は軒並みブルーシート |
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総持寺本堂
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総持寺
能登門前といえば総持寺。本堂の屋根の瓦は整然と輝いて、さすがと見えたが、内部はどうなのだろう。正面の扉は傾いている。
左下の座禅堂は、遠めにはなんともないようでいて、柱は全て傾いている。全壊だそうだ。
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全壊の総持寺座禅堂 |

倒壊した製材所。
この下流側に震災ごみが集積されている。 |

被災した高台の家 |
門前という町
地震と音
本震の時、どーんという音がしたという。高音速で飛ぶ飛行機の衝撃波が地面に届いたような音だった。余震でもジェット機が飛ぶような音がした。小松基地が遠くない門前に住む人らしいたとえだ。
船員の町
門前の海岸沿いは、船員を輩出する町。町内にこれといった産業がなく、船乗りも不況という。昨年2月に輪島市と合併した。 |

川の中にコンクリート構造物が散らかっている。 |

ゆがんだコンクリート・プラントは解体が始まっている |

国道沿いの仮設住宅 |

帰りの道路もところどころ工事中 |

清水橋 |
レーザースキャナ
今回は、道下の市街地を中心に半日、小さな範囲を見聞した。レーザースキャナRIEGL
LMS-Z210を持参していたので、通行止めの清水橋と、海岸沿いの山の上にいくらか地すべりが見られ、地震によるものがあるとの話だったので、測定した。
持参したレーザースキャナは、RIEGL LMS-Z210。
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海に面した山の地すべり

広角合成写真 |
最後に
25日早朝6時すぎから、森さんに町内を案内していただきました。軽自動車の助手席で目を皿のようにして周り、沢山の説明を聞きましたが、メモをとっていませんでした。このため文中に間違い、過不足ががあるかもしれません。あれば私の記憶違いであり、責任は私にあります。ご指摘いただければ幸いです。 株式会社
数理設計研究所 名倉 裕
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