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以前から、数理設計研究所、太田研究室にある小型NCフライス盤で、小さな地形の切削を試みていました。→ 地形立体模型の制作
小型でも、いくつかのブロックに分けて、大きな模型を作ろうという企画がありました。でもA4版より少し大きなものまでしか切削できないフライス盤で、分けて加工、接着するのは、容易な作業ではありません。
レーザースキャナ測定で共同研究を進める、遊具メーカーの大永ドリーム株式会社が、大型のNCフライス盤を購入しました。1m×3mのものまで加工できます。地形切削になんとも都合の良い道具とばかりに飛びつきました。このNCフライス盤は木工用です。主に板をカットする用途に使われます。ですから2次元加工は得意ですが、3次元形状を削り出すには、工夫が必要です。そこをなんとか工夫で乗り切って、地形を削り出そうという試みを始めました。
かねてから、フィリピン、レイテ島で調査したギンサウゴン(Guinsaugon)崩壊地の地形モデルを作るという課題があります。数理設計研究所の太田研究室にはNC(数値制御)フライス盤がありますから、加工できます。大永ドリームの社長、永島さんは、浅間山を彫ろう、FRPの型を彫ろうと、3次元加工に大変乗り気です。
第一目標は、浅間山の1/10000模型です。まず1/50000、20cm四方の模型を作り、その後、1/10000を目指します。データは国土地理院の数値地図50mメッシュ、一部は10mメッシュを用意しました。
大永ドリームのNCフライス盤は、SHINX というメーカーのものです。板を切り出すのに便利な道具ですが、3次元曲面加工には便利にできていませんでした。大永ドリームでは通常、操作メニューから「自動プログラム」というモードを選んで操作しています。図形入力方式で、ガイドに従って操作すれば、加工データができあがります。CADから出力したDXFファイルは読めますが、Z軸のデータを読みません。垂直方向のデータは、ソフトウェア上で指定しなければなりません。
地形を切削する時、複雑で膨大な量のデータの1つ1つにZ値を設定するのは、現実的ではありません。なんとかZ値を読ませられないか、とも考えましたが、もう1つの方法を採る事にしました。
DXFデータにZ値を加えたデータは、NC加工用のGコードという、数値制御機器では標準的な機械言語に変換されます。このGコードが機械を動かします。外部で作成したGコードを、制御用ソフトウェアに読ませられれば、NCを制御して3次元形状を切削できます。
取扱説明書を読む内に、メインメニューの「自動運転」を選択すると、外部のテキストファイルを読める事に気がつきました。Gコードで書いたプログラムは、数里設計研究所の玉置が、NCフライス盤を使うため作ったものが多くあります。早速、読ませてみました。しかし「***が足りない」「***がおかしい」といったメッセージが表示されます。何かが足りないようです。
通常使っている「自動プログラム」モードでは、できあがったGコードが見られます。Gコードで板を加工する時、座標データの前に設定コードがたくさん並んでいるのが見えます。電話でメーカーに聞いたところ、G コードの最初にマクロを設定するのだそうです。刃物毎の設定値を含むらしく、この部分はメーカーがユーザーの注文によって作成するのだそうです。そうも言っておれないので、更に聞いたら、「自動プログラム」モードのG コードを参考にして作ってほしいとの事でした。これがGコードのヘッダ部です。
| T5 G65 P9200 L1 M95 G218 G53 M105 G90 G00 Z 0.000 M189 M128 G219 T5 M99 M06 G53 G90 G00 Z 0.000 M92 T5 G65 P9000 L1 G219 T5 M99 M93 S6000 G04 X2.0 G61 |
G65で示されるのがマクロをコールしている部分で、加工を実行する時には、マクロの中身まで表示してくれます。単純な形を加工する、簡単なヘッダは次のようでした。
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これを頭に付加して、最後には次の終了コードを付加しました。
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加工する座標データは、Gコードの「G01」コマンドの連続です。これが4万行余り続きます。これは国土地理院の50mメッシュ数値地図から浅間山の部分を取り出して、その座標値をGコードのフォーマットに仕立て上げたものです。変換ソフトウェアは自製です。
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こうしてヘッダ、本体、トレイラーを組み合わせて作ったテキストファイルを、制御用ソフトウェアに入れる事にしました。「自動運転」モードにして、ファイル名を指定すると、読みました。エラーメッセージは出ませんでした。
Gコードを読ませたら、思い通りに切削してくれるかどうかを試す事にしました。Gコードの1ステップづつを実行できますから、最初から1ステップづつ実行して、コマンドの意味も理解しようと考えました。標準的なGコードの意味は調べましたが、メーカーによって個性的な意味を設定できるコマンド番号があるようです。
エンドミルがセットされ、主軸が回転を始めました。しかしXY値がおかしいようです。奥右端の原点から出てきません。中断して、「自動プログラム」モードで動くGコードを見ました。座標地は全てマイナス値になっています。ヘッダがそのように設定しているのでしょうか。
それならばと、XY値をマイナス側に設定しました。エンドミルの高さ位置は良さそうなので、Z値はそのままにしました。そしてGコード1行づつ動作させると、動きました。それらしく、浅間山をなぞるように動きました。それならばと、1m×3mあるテーブルの手前まで来るよう、マイナス値に一定の値を加えました。次は、こうして作った座標データの一部です。
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思い通りの位置を動くように見えるエンドミルが、確かにそう動いているのか。スタイロフォームを削ってみました。エンドミルは直径10mmの標準(頭が平らな)エンドミルでしたから、階段状になりましたが、およそ地形を表していました。切削速度、エンドミルの回転数は、スタイロフォームでは問題はなかろうと、設定のままです。表面に毛羽立ちが目立てば、適当な調整が必要かもしれません。
タレット(刃物台)には、6種のエンドミルが並んでいます。R3のボールエンドミルがありました。番号は3。ヘッダ文字列の中の「T5」を「T3」に変えました。そしてデータ間隔は2mm。X方向に1ラインづつ凹凸加工しながら、2mm毎にY座標をずらしていきます。20cmを削るために200往復します。時間は30分余り。
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R3ボールエンドミルの2ミリ間隔切削では、切削ラインが模様になって見えてしまいます。
1mm間隔なら良いか、と試すと、なぜか2mm間隔と同様の縞模様が出ました。このテーブルは、上に載せた切削材料を、ルーツポンプで吸引して固定します。このためテーブルにはところどころに穴が開いています。スタイロフォームのように柔らかい材料では、端を削る時、エンドミルの力で端が持ち上がってしまうのでした。刃物が中央から端へ、削りながら移動する時はほとんど持ち上がらず、端から中央へ移動する時は少し持ち上がります。往路と復路では切削深さが変わって、縞模様になったのです。
端を使わなければ良いのですが、もったいない。それならと、時間が少しもったいないのですが、片方向だけ切削する事にしました。行きは切削、帰りは急いで戻します。こうして切削ラインや毛羽立ちのない、きれいな表面の、20cm四方、1/50000浅間山模型ができました。
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切削後、着色を施した模型を取り上げた、大永ドリーム、永島さんのブログ「浅間山の立体地図を作る」。
上の写真の浅間山を切削する前に、1つの困難がありました。切粉の飛散防止ガードの枠とビニールスカートが、スタイロフォームの表面を傷つけてしまいます。エンドミルが短いためで、少し長く出してもらいました。長いエンドミルを買ってもらいましょう。
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それでもビニールスカートが表面をなでるので、スカートめくりをしました。これで上下動40mm足らずの間、ガードが切削表面に接触しませんでした。
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浅間山は、10km四方範囲の模型を作ります。1/10000では、1m四方の大きさになります。まず、その一部を、20cm四方に削りだしてみる事にしました。仕上がりの状態を見るためです。本番では、標高差も15cm以上になるため、長いエンドミルと、厚い材料を用意しなければなりません。エンドミルの長さや、飛散防止ガードが当たる都合で、約4cmの深さしか彫れませんでした。浅間山山頂を入れて、標高差400mの部分までです。飛散防止ガードを外せば、短いエンドミルでも、深さ約7cmまで彫れそうです。
浅間山と西北西にあるピーク |
荒削りの際、油断して飛散防止ガードのスカートめくりを忘れ、ガードに押しつぶされた火口が割れてしまいました。
火口周辺や、西北西の山体の傾斜はきついのですが、滑らかに仕上がりました。
山頂が平らな帯になっています。50mメッシュ地図の一次近似では、仕方がありません。10mメッシュを使おうかと迷うところです。
次は、長いエンドミルと、厚い発泡材を用意して、本番模型の切削に移ります。
幅1mの切削材料が容易に手に入るでしょうか。
15cm以上の厚さを一度に切削できるでしょうか。10cmの厚さで、2回に分けて切削し、貼り合わせる必要があるかもしれません。
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