ひとつ前へ → 叶迫攝ン計研究所 Topへ  記述責任・問合せ先 名倉 裕

地上型レーザースキャナ
有効距離の考え方

  1. 有効距離は1kmほしい
  2. 測定対象の拡大
  3. 手軽さと安全性
  4. 測定地点の探索
  5. 参照点設置
  1. 参照点精度
  2. 実際の有効距離
  3. 更に遠距離の測定
  4. 参考.市販のレーザースキャナ

1.地形測定の有効距離は1kmほしい

 有効距離は最低500m、できれば1km以上ほしいと考えています。広範囲の測定はもとより、地上型レーザースキャナを地形測定に効果的に使うためには、大きな有効距離が必要です。

2.測定対象の拡大

 数年前まで、地上型高速レーザースキャナで測定できる距離は 200〜300mまででした。300mとは、中流域の川の対岸、道路の向こう側の崖、崩壊斜面の一部がやっと入ります。人口構造物の多くはこの範囲に入りますが、橋梁など長大な構造物は、何回かに分けて測らなければなりません。
 私たちが使うレーザースキャナの内、RIEGL LMS-Z210 の実用有効距離は250〜300m。RIEGL LMS-Z420iは600〜800m以上を測れます。目前の測定対象の、Z210は2〜3割しか測れませんでした。測ろうにも届かない、接近できないためです。Z420iは半分か、それ以上を測定可能です。接近する必要がないのですから。

3.手軽さと安全性

 有効距離が短いレーザースキャナで、大きな対象、広い地域を分けて測るには、適当な測定地点がいくつも必要です。そして多くの参照点を適切な位置に配置しなければなりません。それはリモートセンシングの手軽さから遠ざかる、安全性を損なう可能性がある作業です。

4.測定地点の探索

 斜面を測る時、斜面下端からの測定は難しく、危険でもあります。少し離れて全体を見渡せる場所から測定します。平坦な地形の測定は、俯瞰できる高所を探します。川に沿う崩壊地を測定する時、対岸の高所が最適な測定地点であれば、川を越えて余裕がある有効距離が必要です。いずれも有効距離が長いレーザースキャナではじめて可能な方法です。300mの範囲では、測定地点は探すまでもなく限られてしまいます。測定対象を良く見渡せる場所を探す事が、良いデータを得るための第一の条件です。
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超長距離型の崩壊地測定
 芋川対岸の崩壊地。手前の田圃と崩壊地の間は深い谷で、田圃の端から崩壊地までの距離は400〜1000mあります。角度は絶好の観測位置ですが、この時は超長距離型低速のLPM-2Kと、中距離高速型のLMS-Z210しか用意しておらず、時間も限られたため、LPM-2Kで概形を測定するに留まりました。長距離高速型 LMS-Z420i があれば、詳細な測定ができたでしょう。
(新潟中越地震後、山古志村寺野地区)

5.参照点設置

 有効距離が長いレーザースキャナは、基準点を直接測定できる機会が多く、派生させる参照点も少ない数で足ります。一般に参照点に関わる作業はレーザースキャナ本測定より時間がかかります。必要な参照点数が少ないと、計画、設置、測量、撤収にかかる手間、時間が短くて済みます。
 地震災害の調査では、不動の基準点そのものの発見が困難ですが、周囲800mの内には比較的動かないだろう地点をいくつか見つけられます。

6.参照点精度

 参照点の測定誤差は距離依存性が小さいので、参照点と測定地点に適度(100〜500m)な距離があると、測定対象の絶対誤差が小さくなります。

7.実際の有効距離

 有効距離は地表の質、天候で変わります。黒い岩は反射光が少なく、濡れた地表はレーザー光を吸収したり、正反射して、戻ってくる反射光は僅かです。はレーザー光を吸収してしまいます。反射光が少なければ、有効距離は短くなります。
 マニュアルに「有効距離は、反射率80%のターゲットに対して800m」とある時、特殊な対象でなければ600mまで測定可能として計画を立てます。

8.更に遠距離の測定

 1kmを超える地形は、低速ながら2000m以上を測定できる超長距離型レーザースキャナ、RIEGL LPM-2K を使います。毎分100点の測定速度ですから、一ヶ所の測定に1日以上かけるのは珍しくありません。しかし2km以上を測定できる能力は他に代え難く、未知の条件で調査に出かける時、ただ1つ携帯するなら、この機種以外にありません。

参考.市販のレーザースキャナ

 500m以上の距離を高速で測定できるレーザスキャナは限られます。
・RIEGL LMS-Z420i →メーカーWEB
 有効距離 600〜1000m。私たちが主に使う機種です。
・Optech ILRIS-3D →メーカーWEB
 1500mまで測れるというレーザースキャナ。見たこともないので、ユーザのレポートを見たいもの。しかし国内には僅かな台数しかないそうです。
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長距離高速型の河川測定
 斜面の崩壊土砂が河床を埋めた地形の測定。大きく弧を描く川は、見通し距離が約600m。LMS-Z420i で不足のない現場です。最大川幅200mを、流域に沿って約1kmを5ヶ所で測定。参照点は60余地点に設置しました。
(宮崎県耳川。塚原ダム下流域)

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