Riegl LMS-Z210 の測定データにおける反射率の異常の検証
2001/10/31 NAGURA Hirosi 数理設計研究所

 縦方向のスキャンを繰り返しながら水平方向に移動スキャンする Riegl LMS-Z210(以下 Z210)で、縦方向3スキャン毎に1スキャン分のデータ全体に渡って反射率データが他よりも低いという状態が発生した。
 以前のデータには見られなかった傾向である。
 Z210 は3面ミラー回転型スキャナであり、その内の1つについて異常があると考えられる。
 ここでは反射率の低下について検証した。

 検証用のデータは、数理設計研究所のあるぐんま産業高度化センターのロビーの壁を測定したものである。
(2000/11/16)
 データ全体の反射率分布図を次の図1に示す。
 図中の中央の縦線は、後に示す、3列だけ切り出したサンプルデータの部分を示す。

図1 LMS-Z210測定による反射率分布
 下の図2は上の部分を拡大したものである。
 縦スキャン線3本毎に暗くなっているのがわかる。
 タイルの目地によって、11本毎程度の割合で縦の暗い線が生じているが、Z210 によるものとは区別できる。
 横の暗い線は、タイルの目地による。

図2 LMS-Z210測定による反射率分布 部分図

 次の表1に測定データの内の反射率を示す。図1の中央部の縦に長い線のある部分であり、縦3列のデータからなる。
 元表はデータ数が多く、縦に長いので、その一部を示した。
 表内でのデータの配置と、実際のデータの配置は対応している。
 各列は、回転ミラーの各1枚に対応して、それぞれの個性を表すと考えられる。
 メジアンは、表2の計算のための横3個のデータの中央値を示す。
表1 反射率表(実際の並びと同じ配列)
列1 列2 列3 メジアン
115 106 111 111
120 111 119 119
117 113 119 117
115 112 116 115
116 111 115 115
118 112 117 117
117 114 118 117
117 110 113 113
119 113 116 116
118 115 115 115
120 111 117 117
113 107 110 110
121 110 116 116
116 112 117 116
118 110 116 116
・表2は、横方向3個の反射率データ値と中央値の差分を示す。
 列3が中央値である傾向が強い事がわかる。
 列2は低く、列1はより高くなる傾向がある。
表2 中央値からの差分
列1 列2 列3
2 -4 0
4 -5 0
1 -8 0
0 -4 2
0 -3 1
1 -4 0
1 -5 0
0 -3 1
4 -3 0
3 -3 0
3 0 0
3 -6 0
3 -3 0
5 -6 0
0 -4 1
2 -6 0
・図3は、表2の「中央値からの差分」を、列毎にグラフ化したものである。
 表1、2と異なり、図1から切り出した縦長のデータ全域について示した。
 列2は低く、列1は高く、黄色の列3が中央値を多く含む事がわかる。
 それぞれの平均値は、
 列1  1.9
 列2 −3.6
 列3  0.2
 であった。

図3 行毎の中央値からの差分値
 青:列1 桃:列2 黄:列3
 縦軸は中央値との差分
 横軸は行番号
・図4は、表2で示した各列の差分をヒストグラムとして表したものである。
 データの偏りが明確だが、列2は中央値をほとんどとらず、偏りが大きい。

図4 行毎の中央値からの差分のヒストグラム

・結論
 1つのミラーから得るデータが、他のミラーから得る反射率データに比べて低く偏向している事は確認できた。
 この差分は大きくないとも考えられるが、反射率を何等かの判断材料として用いる場合には、小さくない。 
・考察
 ミラー3個の個性というには、データ量が少ないかもしれない。
 今回は新たに実験を実施せず、過去のデータから検証したため、目地の存在がいささか紛らわしいものとなった。
 より均質な壁、或いは紙を貼った壁の測定を行うと、より明確なデータが得られたかもしれない。
 ここでは距離による影響には配慮しておらず、測定距離が3m余のものだけを取り上げた。
 10m、100m程度の試験データを得て安定した結果を得れば、反射率の補正が可能と考える。

 この偏差の原因は、たとえばミラーの角度がずれているという事を考えるが、距離データへの影響は別途調査が必要だろう。その原因が他の座標データに影響は与えないという保証はない。
 距離データへの直接の影響だけではなく、反射率が高いものは距離が短くなりがちである、という事から来る影響も考えられる。


付録 反射率の定数補正例
 反射率が低く現れる列について、定数を加算して簡易補正を試みた。
 データは上記と同じものである。
 次の図は、補正前の反射率分布を示す。
 次の図は、定数補正後の反射率分布を示す。
 濃い縦線は、目地によるものだけになったが、全体のコントラストが低下したようにも見える。
 もっとも、目地以外では平坦に見えて欲しい対象である。

∫MAD 数理設計研究所 Mathematical Assist Design Lab. 1997-2001